ツンデレ愛妻家【黛千尋】

#01 ２次元と３次元 ページ2

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「"２次元に勝る３次元"か……」

「冒頭から何言ってんすか？黛さん。」






冒ゲームメーカーの企画部商品企画課。

そこに配属されて、早２年…と半年。







「ﾌｯ…くだらねえ」

「冒頭から愚痴ですか？」






現実、何もかも思い通りとはいかないらしい。







「３次元に負かされる２次元なんぞ、存在価値ねえっつーの。」

「今ね、カッコ良く恥ずかしい事言いましたよ。」

「鬱憤晴らしだ。」






初見の読者にはかなり引かれている可能性があるので一応言っておくか。






「"企画"と名がつく文書作成作業…若手だからってナメやがって…ココ、大手だぜ？」

「黛さん、それ以上はお口チャック。」







ゲームメーカーに就職したいと考えたのは、実は高３からだった。

言わずもがな、俺は２次元という世界に精通がある。


ゲームだって例外じゃない。

大手の会社に入って、そこで数々の娯楽を企画するのが夢だった。

我ながら、その辺の奴より熱意はあると思う。




だからまずは情報工の強い大学に進学し、

２年間の学院生活を経て、

大手とされるゲームメーカーの内定を獲得。

優秀な人材が配属されると言われる、「企画部」社員の称号を手に入れた。






………のは言いもの、







「ハァ…」

「俺達下っ端なんですから、これからですよ」

「あ？」

「ほら！給料良いじゃないですか！」

「金の話じゃねえんだよ」






お金で買えない幸せたるものを、この歳になって知るとはな。






「"２次元に勝る"って響きが納得いかねーんだよ」

「本当、３次元に厳しいですよね。」

「同じ次元にいねーんだ、当たり前だろ。」






ホワイトボードについていた手をそっと離す。


その薬指には、指環。







「塩下、1000円やるから上に文句行って来てくんね？」

「誰が1000円で釣られるか！」

「全く使えん後輩だ…」

「たかが１年違いでしょーが！」





チッ…





「ハァ…」←２度目

「あんた本当よく３次元の女性と結婚出来ましたね。」

「………はぁ？」






おいおい、笑わせるなよ。






「嫁を３次元の女なんぞと一緒にするんじゃねーよ。」

「あ、すいませ＿＿＿＿はい？」

「だから…」






これだから最近の若者は……






「俺の嫁を３次元の女と一緒にするんじゃねーよ」

「いや同じ言葉繰り返しただけ…！」






何もわかっちゃあいないんだ。








「その愛妻家っぷり、ヤバイっすよ」

「普通だろ。」

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