【レトルト】女装男子系実況者【男主】 (ページ42)

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あれから何軒もの店をはしごし、色々な服を見て回った。
Aの服の他にも、俺の服も見せてもらって、似合う服を探してくれた。
今は遅めのお昼兼おやつの為、とあるパンケーキ屋にいる。
…ここ、入るのに凄く並んだなあ…1時間くらい…

目の前のAは頼んだパンケーキをそわそわとせわしなく待っている。

…しっかし、周りカップルばっかりやなあ。
ううん、居心地悪い。

「ここ、キヨとも来たんだよねえ」

お冷やを口に運びながらAが言う。
へえー…キヨくんと……

「この前遊びに行ったときにさあ、パンケーキパンケーキうるさいから寄ってやったの」

「キヨくん、パンケーキ好きだもんね」

「ま、その所為でめんどくさい事になったんだけど」

「めんどくさい事？」

首を傾げる。なんだろ、めんどくさい事って。

「いやあ、ちょっとね…」

―――

「もしかして、キヨさんと女神サマですか？！」

俺とキヨでパンケーキを待っていれば、突如かけられた声。
なんだ？と思って見てみれば数人の女子高生らしき姿。

ああ～、実況知ってるクチか。さいっあく。
キヨは慌てている、見ているのは楽しいけれどこういうのめんどくさいからなあ。

小さく咳払いすれば、俺はさいっこうに甘ったるい声で目の前の人間へ言う。

「はあ？キヨ？女神サマ？何ですかぁソレ。意味わからない事いきなり言わないでくれます？
人違いだと思うんですけどお…ね！マキト！」

適当な名前でキヨを呼べば、まだ若干慌ててはいるがキヨがしっかりと頷く。
今度は尋ねてきた彼女らが慌てる番だ。俺は更に畳み掛ける。

「気持ち悪いし、さっさと離れてくれませぇん？そこ、他の人の邪魔にもなりますしぃ」

その一言で、彼女らは逃げるように去っていった。
去り際に「あんなぶりっこ、女神サマじゃないよ！」との言葉を残して。

残念女神サマでした～

「わり、助かったわ」

「んー、気にすんなー。私もバレたら面倒だしね」

―――

A、こわっ。
話してくれた内容を頭で反復しながら、俺は冷や汗を流した。
話している間に届いたパンケーキを摘みながらAはけたけたと笑う。

「玲護、私の事怖いと思ったっしょ？」

「ええっ！？！な、何でバレて…」

「顔に出てたわばーか」

な、なんだって…！？
ぺたり、と顔に触れる。俺、そこまで顔に出やすいとは…いつもは結構無表情なんだけどなあ。

「玲護ってさ、私の前だとけっこー表情に出るよねえ」