【レトルト】女装男子系実況者【男主】 (ページ17)

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「おっ、ワインじゃん！」

「Aが飲みたがってた奴。見つけたから買ってきてあげました～」

「でかした一真！飯は？食ってく？」

「勿論」

「りょうかーい。飯作るからそのウィッグかたしといてくんない？
あ、玲護酒駄目だっけ。」

ぼーっとしていれば突然自分に振られて、思わず変な声が出た。
は、恥ずかしい……

「俺はあんま飲めへんよ…」

「わかった。じゃあ玲護はシャンメリーでいいよな。ポケモンの」

「なんでシャンメリーあるんよ…しかもポケモン…」

「たまたま」

そんな会話をしていれば、アブさんがこちらに寄ってくる。
テーブルの上のウィッグをスタンドごと持ち上げれば、Aにこう聞いた。

「これ何番ー？」

「部屋の13番！」

「はーい」

俺にはちんぷんかんぷんな会話をしてから、アブさんはリビングの隣の扉を開けて入っていく。
ちらりと見えた色はピンク色。そういえば、女神サマとして踊ってみたをしているときに映るあの部屋もピンクと白基調の部屋だったなあ。対するリビングは黒を基調とした凄くオシャレなリビングだ。
A、本当によくわからない…

「あ、玲護はそこで座って待ってていいから」

「え、いや俺も何か手伝うよ？」

「いいよいいよ、俺のわがまま聞いてもらったわけだし客人としてそこで大人しくテレビでも見てて」

手伝おうと思ったけど、提案をつっぱねたAはキッチンに消える。
……ひとりぽつんと取り残されて、居心地が悪い…
落ち着かなくてきょろきょろと辺りを見回す。と、部屋から出てきたアブさんが目に入った。

「どうしたの？レトルトくん」

「い、いや、落ち着かなくて…」

「あはははっ、まあ知り合って数日の人の部屋だもんね！」

慣れた動作で俺の隣に腰掛けたアブさんは、テレビのリモコンを弄ってテレビをつける。
適当にチャンネルを回しながら、アブさんが俺を見ずに聞いた。

「レトルトくん、Aに気に入られちゃって可哀想に」

「えっ？」

「人を泊めるなんて相当気に入ってないとしないからね～あいつ。
性別も名前も教えてもらったんでしょ？」

「あ、ああ…はい」

「これから大変だよ、あいつに気に入られちゃうと。キヨくん共々頑張って！」

こちらを向いたアブさんのおかしそうな笑みに、あっけに取られる俺。
可哀想、なんか…俺。

「アブさんも、可哀想な人なんですか？」

「ふふ？俺？うーん、まあ、可哀想な人に入るかも。
でもあいつ、俺の事は気に入ってるって言うより…」