【レトルト】女装男子系実況者【男主】 (ページ16)

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レトルトside

「俺さあ。女だと思った奴が実は男だった！って発覚した時の人間の驚いた顔？ってやつ？にねえ。
………めっちゃ興奮するんだよ」

恍惚の笑みを浮かべたAが発したその言葉に、明らかに引いた表情を浮かべる。
思わずAと距離を取れば、気付いたAが首を傾げる。

「どうした？」

「いや……やっぱアンタおかしいわ…」

「それ一真にもよく言われる」

「かず……？あ、ああ…アブさん？」

「そうそうアブ。あれ？知らなかった？」

「いや、知ってるけど、普段名前でなんか呼ばんし……」

普段も名前で呼んでたら、いざというときに名前で呼びかけるから。
そう言おうと思ったら、女神さんは俺にこう聞いてきた。

「名前教えろよ」

「ええっ！？」

その声が凄い近くで聞こえてきたから、びっくりして大げさな反応をしてしまう。
見れば女神さんはソファの上で四つん這いになり、俺のすぐ近くに顔を寄せていた。
耳にかけていた赤いメッシュがさらりと宙に舞う。

「つ、月島玲護…やけど…」

「玲護な、覚えた。つか月島とか某死神漫画の月島さんのおかげ思い出したわ」

「それちゃう。俺栞で記憶改ざんなんて出来んし」

「なん…だと…？」

「って…俺の名前聞いといて自分の名前は教えてくれんの？」

「ああごめん忘れてた。俺は望月A、気軽に女神サマと呼べください」

「なんでそうなるんよ！？」

「じょうだんじょうだーん♡Aでいいよ、玲護」

女神さんが見た事もないような笑みで言うから、心臓が大きく跳ねた。…気がした。
な、なんでや俺！！！さっきまで嫌悪感しか抱いていなかった相手になんでドキッとするんや！！
そ、それに、落ち着け、相手は男。女装が趣味の男だ…！！！！
ぶんぶんと頭を振れば、何やってんのと笑われる、その時だった。

「Aー？」

聞き覚えのある声がした。
この声は―――アブさんだ。

「あ、一真じゃん」

四つん這いで俺の側に居た女神さん…えっと、Aは、声に気付いて俺の元を去る。
それにほっとして胸を撫で下ろせば、リビングにやってきたアブさんの驚いた声が耳に入る。

「あれ？あれあれ？レトルトくんじゃなーい？」

「あ、アブさん…ご無沙汰しております」

「何そのかったいの！緊張しないでしないで！やっほ、こんばんは」

紙袋を持ったアブさんが手を振る。
Aが紙袋をひったくり、中をのぞいた。