【щт】without【kr】 (ページ10)

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約束の日には既に第一王子の訃報と舞踏会は中止しないという旨が人々の間に広まっていた。義姉2の方は兄王子の方が好みだったらしく少しがっかりとしていたがそんなことよりも玉の輿に注力しているらしい継母はせかせか娘達の服のサイズを測っていた。

　絶賛手伝わされている最中の私からすれば、結果が見えている舞踏会に向けて気合いを入れて頑張っている3人が道化のようで面白かった。笑えばまた怠いことになるのでもちろん笑わなかった。

「ねえ、お母様！私グリーンのドレスを着たいの！汗が染みたって臭いがしないらしいじゃない？」
「お母様、私は黄色のドレスが良いですわ。彼らは皆黄色がお気に入りでしょう？」
「好きになさい、お金はあるのですから。灰かぶり、私達は仕立て屋に行くからその間きちんと掃除しておくように」

「……はい」

　
　早く行けよ。

あ～、いつまで猫被ってないといけないんだろ？被ってるのは灰だって？やかましいな。
　これみよがしに私の前でドレスの話するの性格悪すぎでは？まだ魔女がいるかも知れないという希望を捨てていない私は悲しんでいるふりも忘れずに掃除もきちんとする予定なのに！魔女は心やさしい人のもとにしか現れないらしいじゃん？条件厳しすぎて嫌だわ。

　クスクスとこちらを見下すような笑いを零して馬車に乗る彼女たちを見送ってガッツポーズを決める。ここが外でなかったら雄叫びも上げていた。これで心置きなく王子の下へ向かえるというわけだ。

　少しだけ髪を整えて家を出る。風のせいで全部崩れたがそんなのは気にしなかった。早足で廃墟に向かって、そこに既にあった金色に安堵する。

「遅くなりました」
「別に、そんな待ってないよ」

　浮かぶ笑顔に隈はついていなかった。どうやらぐっすり眠れたらしい。
　