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当然だが帰ったあとは折檻だった。
「何でこんなに時間がかかるんだ！」
「飯の支度はまだか！」
「このグズ！」
ベチンと箒の柄で叩かれて、思わずうずくまる。買ってきた食材たちがゴロゴロとそこらに散らばった。いい気味だ、と高笑いする義家族たちはあまり語彙力がなかった。精神的には痛くも痒くもないが、身体的にきつかった。こんだけ働いて壊れかけの煎餅みたいなマットレスの上で寝るのだから、疲れが全く癒えない。
彼女たちの声が聞こえなくなったあとで、散らばった食材を拾い、料理に取り掛かった。
考える。
Q私は何のためにこの世界に来たのか
A理不尽な死に抗うため
考える。
Qハッピーエンドとは何か
A王子と結ばれること
考える。
Qお助けキャラ居ないってマ？
Aいなさそう
考える。
Qもう王子私のこと好きでは？
A自惚れるな、あのキスは上流のの社交辞令だろうが！
こういう場合、メインヒーローに惚れると強制悪役令嬢ルートが有り得そうだから困る。万が一お義姉様とでもくっついたら大変なことだ、破滅一択である。
グツグツと煮えた鍋を無心で眺める。
あー、王子と結婚して早く元の世界帰りたい。
少し滲んだ涙は玉ねぎのせいにした。
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作者名：ポム | 作成日時：2024年2月25日 1時
