【щт】without【kr】 (ページ2)

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Ⅱ ページ2

服装からなんとなく分かってはいたが、私達は上流階級の人間らしい。上等な馬車に乗って、賑やかな城下町を走る。石畳で整備された道を走る場所からは窓ガラスから外を見ることも出来た。キャラキャラと楽しそうに笑いながら走り回る子供、町中に掲げられた国旗と見られるもの、嬉しそうに笑うマダムたち。つまりは国中が王子とやらを祝福しているらしい。

「もうすぐ着くわよA」

　柔らかに髪を撫ぜる女の手に意識が目の前に戻る。どうやら貴族？というか上流階級の者たちは街の人間よりもより近い場所で王様方が乗るパレード用の車を見せてもらえるらしい。

　美しいドレスに身を包んだ女、長髪を綺麗にまとめた男、聖職者らしき老人。様々な人間がごった返す中、私は父親の腕に抱かれていた。

　厳かな音楽が流れる。河口に近い海を思わせるような雄大な音、静まり返ったところに響く王家が来たという合図。本当にラッパが吹かれるのかと驚いていると、パチパチと割れんばかりの拍手が起こった。

　黄味がかった白色に身を包んだ王様たちがたおやかな笑みを浮かべ、きっちりとした角度で周りに手を振っている。
　今日の主役である王子は、まだ幼いのにも関わらずちゃんと美しい笑みを浮かべていた。
　きらきらと陽のもとで輝く柔らかい金髪は緩やかにウェーブしており、お揃いの瞳は眼鏡の下で細められている。

　
　これ王子様を攻略する感じか？

　私のせいで腕の塞がった父親のためにパチパチと一生懸命拍手しながらこの世界について考察する。わざわざ私が上流階級にいるのも王子と繋がりやすいからだろう。世界観がなんとなく分かった私は早く家に帰って情報を収集したかった。

　なのでぐずった。

　幼いからこそ許される横暴。
　いくら高貴だからといって年齢特有の帰りたい！！アタックを抑えられる幼児はいない。むしろ中身に私が入っているから大分とお利口さんだったはずだ。

　焦った彼らはよしよしと私を宥めながら馬車に戻っていった。計画通りである。表情筋がもう少し発達していればあのゲッスい笑みを浮かべたことだろう。さあやることは決まった。あとは道のりを考えるのみである。