✣✣ ページ15
急かすようにして彼の手を握った。冬なのに手袋を忘れた私の手が、きちんと手袋をつけている彼の手を掴んでいる。オロオロしながら離れようとする手を離さないように少しだけ力を強めた。大人しくなった手は私に引かれたままでいてくれた。
「手、」
『なに？』
「いや、何でもない」
分かれ道に近づくにつれて握られる手。二人とも取り留めのない言葉を零しては拾ってまた無言に戻る。偶に同じ学校の人とすれ違ったけどどちらも手を離そうとはしなかった。
ちょっとだけ前を歩く私とちょっとだけ後ろを歩く彼。
いつも私に歩幅を合わしてくれるところが好き。
手なんか無理やり繋いだんだから離したっていいのに、繋がれたまま何も言わない優しいところも好き。
いたずらをして怒られてるのに全く悪びれた素振りも見せずにケラケラ笑ったり、なのにさっきみたいな柔らかな笑顔も浮かべたり出来るところも好き。
岐路に着く。自然と足が止まった。帰り道にほとんど見なかった彼の顔を見て息を吸う。
「好きだ」
『す、え、』
「Aのことが好き……なんデスケド」
あー、うー、と頬を赤らめて目線を揺らしながら告げる彼。握っていた手を両手で取られて、熱を帯びた視線が向けられる。
「俺にだけなんか照れた感じで話しかけてくるし、すげー可愛い顔で笑うから」
「なかむと距離近いし、仲いいし。だから我慢しないとってずっと思ってた。のに俺にだけそんな顔すんじゃん。今日も、急に手とか繋いできたし」
「Aも俺のこと好きなのかなって期待するんだけど」
手袋のスマホ触れる部分、ちょっとごわごわしたそこが手の甲を擦る。
一気に顔に集まる熱を片手でしか隠せなくて、それを見たシャークんがふはっ、と息を吐き出した。意地悪く目を細めてるのに、どこか泣きそうで嬉しそうな顔。
「な、返事聞かせてよ」
忍ぶ
1.
我慢する
2.
恋心を包み隠す
3.
人目を忍ぶ
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ポム(プロフ) - シソラスさん» ありがとうございます、そう言って頂けて嬉しいです😭💕これからも頑張りますので是非よろしくお願いします🙏 (2月26日 0時) (
レス) id: 22cb62df43 (このIDを非表示/違反報告)
シソラス - どの作品も独特で不思議な雰囲気が漂っていてとても好きです…是非応援させてください。 (2月22日 15時) (レス) @page7 id: 1420bb5147 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポム | 作成日時：2024年2月18日 19時
