第１９話「こんなのぜったいおかしい」 ページ21
降谷零side
結局俺と緑川の女装が決定した。決まったと同時に会議室を脱兎の如く飛び出そうとした俺はAにとっ捕まり、女装の準備と言って隣室に行った緑川とAを除いたメンバーと会議の続きを進めた
「こんなのぜったいおかしい……」
処刑待ちの囚人のように項垂れる俺に風見はそっと胃薬と緑茶を渡した。できる部下だ
死んだ魚のような目で胃薬を緑茶で流し込む。すると「終わったぞ」と淡々としたAの声がして隣室の扉が開いた
出てきたのは黒い髪の美しい女性だった
艶やかな腰まで届く長い黒髪を揺らし、頬を紅く染める姿は清純な雰囲気があり、大和撫子という言葉がぴったりだ
「なかなか上手くできたみたいだぞ、景光」
「うそだろおい」
「これがどっこい本当なんだぜ」
美しい女性の唇から紡がれたのは聞き慣れた幼馴染の声だった
「詐欺だ……」と何人かがその場に崩れ落ち、顔を覆った。会議室に水溜りができるな、これは
「景光は元が良いから化粧が楽だ。あと髭さえ剃ればかなり雰囲気変わるな」
「というか今更なんですけど、何で赤井さんが緑川さんのメイクやってんですか！？ナチュラルに言ってますけど！！」
「女装経験あるからな」
その場の空気が一瞬にして凍った。不意打ちの爆弾発言は徹夜明けの俺達の脳味噌の機能を停止させるのに十分な威力だった
「A、女装するのか？」
１人だけ例外がいた。空気も読まずに景光は暢気に質問をぶつけた
「一度だけ、兄貴にアメリカまで呼び出されたことがあってな。そのときに」
「アメリカまで？」
「ああ、『しつこい勘違い女が迫ってきてうざい。手伝え』って言われてな。夏休み中だったから行ってみたらかなり執念深いストーカーだったんで、手っ取り早く彼女のフリして追い払った」
「彼女のフリ？」
「ああ」
「Aが？」
「ああ、兄貴と全裸でベッドに入って、その光景見せたらキレて散々喚いて帰ったぞ。傑作だった」
あれは凄かったな、なんて平気で言ってのけるAに俺達は頭を抱えた。あの野郎何してんだ……
上司は隣で天を仰いで「空が綺麗だ」なんて現実逃避している。因みに東都の今日の天気は曇りだし、この会議室に窓は無い
「じゃあ、次は零の番だぞ。あ、リクエストはあるか？」
「にほんじんじょせい」
「了解」
ばたん、と扉が音を立てて閉まった
降谷零side終了
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東雲虚 - イラスト上手いですね 続き楽しみにしています(^^) (6月29日 15時) (
レス) @page40 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
虹霓(プロフ) - まって、、、ふるかわくん？！？！ (2021年9月12日 17時) (レス) id: 84cecb01d0 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - イラストめちゃくちゃうまいですね！尊敬します。 (2020年5月22日 15時) (レス) id: 8c0eb3b580 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - とっても面白いです。これからも頑張ってください！ (2020年5月22日 15時) (レス) id: 8c0eb3b580 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 小豆丸さん» 身体は壊さないように…お気をつけて！私も出来れば12月には合格したいです！頑張りましょう！ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆丸 | 作成日時：2018年5月28日 13時
