第１０話「朝食と弁当」 ページ12
お兄さんと夕食を食べ、その後家の近くまで送り届けた俺は何とか風呂に入り、重い体を引き摺って寝室のベッドに倒れ込んだ
５日分の疲れがどっと波のように押し寄せ、睡魔が急に脳味噌を蕩かすように襲ってきた
突如、携帯電話の着信音がけたたましく鳴り響いた
非通知
出るべきか否か、一瞬考えて通話ボタンを押した
『Good evening,A』
「Good evening,秀一
久しぶりの連絡は嬉しいけど、今凄く眠い」
『なんだ、徹夜でもしたのか？』
「……５日ほど」
『ふむ……では出直すか』
「そうしてくれ……」
『朝、迎えに行く』
「グランド・メゾン米花だ。朝食は？」
『頼む』
「
『
ピッ、と音を立てて通話を切り、今度こそ真っ白いシーツの波に身を沈めた
「……寝よ」
・
朝
素早く器用に体を動かしながら、昨晩の急な来客時に作った夕食の残りを冷蔵庫から取り出した。程好く塩の利いた焼鮭が半切れ、胡麻とめんつゆで和えたほうれん草のお浸し、鍋に入った卵と若布のスープ……白飯は昨日で食べ切ってあるので新しく炊き、焼鮭はレンジで、スープは火にかけて温める
「卵、椎茸、出汁、ウインナー、アスパラ、ベーコン……いけそうか」
どうせこれだけでは足らないだろうから他の具も用意しようと冷蔵庫を漁り、メニューを脳内で組み立て必要な食材を計算しつつ取り出した
湯気を立てて柔らかくなった鮭の身を箸で細かく解し、炊き立ての白飯でやんわりと包んで三角形に仕立て上げた。スープは熱湯で事前に温めておいた魔法瓶に入れる
大き目の弁当箱に鮭のおにぎり、ほうれん草のお浸し、ふかふかの出し巻き卵、椎茸の甘辛煮などを百均で購入した水玉のカップに分けて詰めた
秀一の弁当を作る片手間、自分の朝食も用意する
こんがりと焼けたトーストの香ばしい匂いとその上でとろりと溶け出すバター、熱々のお湯がカップに注がれてアッサムとオレンジの薄切りがぶわりと香り立たせた
行儀は悪いが、キッチンに立ったままトーストに齧り付き、それを紅茶で流し込んだ。火傷するほど熱くした紅茶が頭の奥を香りと共に蹴飛ばしてくれたおかげで体に未だ圧し掛かっていた眠気を含んだ気だるさが消し飛んだ
テレビから流れるくだらない芸能人の情事の縺れやら芝居めいた表情と口調の政治家達の記者会見を聞き流しながら歯を磨いて髭を剃り、身なりを整え家を出た
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東雲虚 - イラスト上手いですね 続き楽しみにしています(^^) (6月29日 15時) (
レス) @page40 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
虹霓(プロフ) - まって、、、ふるかわくん？！？！ (2021年9月12日 17時) (レス) id: 84cecb01d0 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - イラストめちゃくちゃうまいですね！尊敬します。 (2020年5月22日 15時) (レス) id: 8c0eb3b580 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - とっても面白いです。これからも頑張ってください！ (2020年5月22日 15時) (レス) id: 8c0eb3b580 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 小豆丸さん» 身体は壊さないように…お気をつけて！私も出来れば12月には合格したいです！頑張りましょう！ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆丸 | 作成日時：2018年5月28日 13時
