第１５話「安堵」 ページ17
意識がゆっくりと水の中から浮上するように覚醒した
まるで頭を鉄の輪で締め付けるような鈍痛がするし、喉はカラカラに乾いていてピリピリとした痛みが地味に辛い。しかも痛みだけではない。悪寒と高熱が体の内側と外側でせめぎ合っていた
ぐわんぐわんと視界が回りそうな心地で、俺はベッドからのろのろと這い出た。先程から喉が乾いてしょうがないのだ
縺れそうになる足で立ち上がり、そこで漸くぐるりと室内を見渡した
見覚えがあるような無いような、しかしそこは確かに自分の部屋ではない。ペタペタと裸足で赤茶色のフローリングの床を歩くと、ひんやりとしていて気持ちが良かった
すると世界が回った。ぐらりと視界が傾いて、床に倒れ伏した。あまりの倦怠感に体が持ち上がらないが、床は冷たくて酷く気持ちが良かった。ここでもう眠ってしまおうかと意識を飛ばしかけたそのとき＿＿＿＿＿
「赤井ッ！！？」
荒々しく扉が開いて、そこから松田と萩原が慌てた様子で入ってきた
「お前、こんな所で寝てたら悪化するだろうが！」
「大丈夫か？とりあえずベッドに戻ろうな」
ずるずると引き摺られるようにして２人にベッドに戻された
「＿＿＿＿、＿＿＿」
２人の名前を呼んだつもりだったが、ぱくぱくと口を動かしただけで空気が喉を掠めただけだった。声すら出ないとは
「かなり辛そうだな。熱も全然下がってないし」
「スポドリ飲むか？」
コクコクと頷いてスポドリを落さないように両手で受け取り、ぐいっとそれを喉に流し込んだ
何度か喉仏がゴクリゴクリと音を立てて飲むのに上下した
「＿＿＿＿＿＿＿」
礼を言いたかったがやはりそれは音にならず、ひゅーひゅーと空気を押し出しただけだった
しかしそこで漸く落ち着いた
確か、病院で爆弾を見つけて電話したら松田が爆弾と心中しかけて、でも結局やめて病院に駆けつけてきてくれて解体し終わって、それで安心して倒れたのだった
良かった、生きている。松田は、死んでいない
するとどっと疲労感が押し寄せて、瞼がずしりと重くなった
「とりあえずもう寝ろ」
「さっさと治せよ、赤井」
ベッドにトンと押し倒されて、するりとスポドリも回収されてしまった
幼子を寝かしつけるように松田のごつごつとした大きな手が額を撫ぜた。その感触と温度に、酷く身に染み渡るような安堵感を感じた
温かい泥の中に沈むように、底へ深くへと俺の意識は落ちていった
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東雲虚 - イラスト上手いですね 続き楽しみにしています(^^) (6月29日 15時) (
レス) @page40 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
虹霓(プロフ) - まって、、、ふるかわくん？！？！ (2021年9月12日 17時) (レス) id: 84cecb01d0 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - イラストめちゃくちゃうまいですね！尊敬します。 (2020年5月22日 15時) (レス) id: 8c0eb3b580 (このIDを非表示/違反報告)
柊 - とっても面白いです。これからも頑張ってください！ (2020年5月22日 15時) (レス) id: 8c0eb3b580 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 小豆丸さん» 身体は壊さないように…お気をつけて！私も出来れば12月には合格したいです！頑張りましょう！ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小豆丸 | 作成日時：2018年5月28日 13時
