【募集企画】柞吹学園【小説】 (ページ21)

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第21話【裏方】皇城羽癒視点ページ21

「……お！裕太成功してる。さっすが～！ここら辺はもう生徒会長の意地だよね」

ふぅ、と息を吐きほっとしたような顔をさせた親友を見つめながら誰にも聞こえないような小さな声で感嘆の声を上げた。
わたしは放送部に紛れ1人、ショッピングモールへと着いて行った。理由は簡単。生徒会室に乗り込んだ時に言った通り、能力披露(このステージ)を皆が思っている以上に派手にさせることである。

わたしの能力は他人の能力を弱体化させたり、強化させたり__最近は方向(ベクトル)を変えることも増えたけど__すること。なので他の人の能力がないと使えないという欠点があるのだが、対抗戦では敵の能力を操るのでそんなに使えない場面などはない。あるとしたらこういう＂魅せる＂時だろう。こういうときわたしは全力で裏方だ。生徒会や部長の面々が失敗しないように、能力披露(このステージ)がより良いものになるように。

裕太のステージが終わり、ぞろぞろと放送委員が体育館に帰っていく。もちろんわたしも一緒だ。わたしは放送委員長の椿の元へ駆け寄る。

「ねぇ、椿？わたしちょっとさ、ぱぁっとしたいのよね？手伝ってくれるかな？」
「え？いいよ！やろう！やろう！どんなのをするの？」

マイクを口元から離し、わたしの提案に快く答えてくれた。素敵な笑顔も添えて。
それを見てわたしは

「それはおたのしみ、かな？」

と言いながら、しーっと人差し指を口元へ。ウインクもつけました。
さて、次は副会長である零と純花の番だ。さっきの裕太のはやる必要がないぐらいできていたのでわたしの出番は実際ここからとなるだろう。というか、イルミネーションで能力強化すると失敗させてしまう可能性があったからできなかっただけなんだよね。こう、自然に向かってやって欲しいのよね、わたしとしては。強化しやすいから。
零がステージに上がる。わたしは陰でスタンバイ。

誰もいない裏方でわたしはふふっと不敵に笑う。
さあ。新入生たちよ、見てなさい。これが柞吹学園だ。とくと驚くがいい。