【募集企画】柞吹学園【小説】 (ページ12)

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第12話【突撃！生徒会室】皇城羽癒視点ページ12

ぐいーっと腕を空に届くほど高く伸ばし伸びをする。同時にふぅと息をゆっくりと吐いていく。
今日も今日とて入学式のくせしていつもと変わらないぐらい依頼が多かった。もう8つは承った。少しぐらい休ませてよ、とは思うが部長になったのだし仕方ないだろうともう腹をくくっている。今はさっきのもので、終わっているのでないが。

「じゃあ行こうかな！」

と1人、宣言して階段をたたたたたっとリズムよく上っていく。上って行くたびに髪飾りのリボンがその動きに応じて上へ下へと揺れ動き、口元には少しずつ笑みが浮かんでいく。
階段を登り終えるとそのまま迷わずに廊下を歩いて行き、1つのドアの前で立ち止まった。

一拍。

「はあい！みんな浮かない顔してどうしたのかな！？絵留から見せてもらってたけど黒歴史かなんかでも書いてあったのかな？」

ばぁん！とドアが壊れそうなくらい大きな音を立てて開け、開口一番に満天の笑みでそう言ってのけた。しんっ、と静まった気まずい雰囲気を一瞬でぶち壊しやがったのだ。他の人が紙をズタズタにする前に。突然の乱入者にさっきとは違う意味での沈黙が訪れる。

「……あ、えっと、羽癒ちゃん？え？」

生徒会長である美空裕太が代表して乱入者__皇城羽癒__に困惑しながらも言葉を発した。多分この困惑はなぜ来たのかということともうひとつ、なぜ羽癒が資料の中身を知っているか、ということについてだろう。羽癒はさっき答えを言っていたが。
ちなみに当の本人はあっけらかんとしていた。自身の幼馴染である白鳥姉弟に絡みはじめている。

「やっほ！裕太。んー、来た理由としては弟をお願いしますっていうのを伝えたかったのと、あとは……依頼なくなって暇になったからかな！」

意識はそのまま白鳥姉弟に向けたまま能天気に返事をする。最後の言葉に生徒会一同は心の中でそれが本音だろうな！と思った。

「絵留……なんで教えたの……？」

呆れた純花の声。双子の弟の絵留が半分は招き入れたんじゃないかと思ったからだろう。ほぼ100%羽癒が自分でしたのだが。

「ああ、それならね、わたしが駅前にできたカフェで好きなスイーツおごるよってことで手を打っただけだから」
「おい」

答えたのは絵留ではなく羽癒だった。ちなみに彼女、絵留の腹黒の質問までばっちり見ている。
笑顔で羽癒が告げる。

「任せなさい。クイズの方は無理だけど能力披露ならわたしの能力が一番派手にしてくれることぐらいみんな分かってるでしょう？」