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29. side J ページ30
Aちゃんが扉の近くに立っていた。
目線でその後ろ姿を追いかける。
と、いきなり目に映る景色がスローモーションになったかのように感じた。
目の前でAちゃんが倒れていく。
考えるより先に体が動いて、とっさにその体を受け止める。
触れた体は、とても熱かった。
ジェ「っ、あっぶね。Aちゃん? おい、大丈夫かよ!」
一瞬、その今にも閉じそうな目で、こっちを見てくれたような気がした。
でもAちゃんは、そのまま意識を飛ばしてしまった。
俺は急いで保健室まで運んだ。
とりあえずベッドに寝かせると、授業開始のチャイムが鳴った。
何となく離れたくなくて、近くにあった椅子に座る。
寝顔を見て思わず、可愛いなんて呟いてしまって、慌てて口を塞ぐ。
すると、
貴「ん、ジェシー…くん?」
薄く開かれた目が、俺を捉える。
ジェ「Aちゃん。大丈夫だよ。もうちょっと、寝ててもいいから。」
なんて、優しく声をかけてあげると、
Aちゃんは、違うの、聞いて欲しいことがあるの、なんて涙をこぼした。
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作者名：神咲みあゆ | 作成日時：2018年7月15日 14時
