三十話 ページ31
俺はじいさんに男の事を聞いた。
劉「四人組の男ね....」
段「俺が見たんじゃねぇ。逃げてくのを目撃したのは俺の相棒とこいつだ。だか、二人の記憶も曖昧でな」
じいさんはチラリとAを見た。
劉「そりゃそうだ。20年も前なら全部忘れて当然
だよ」
段「それでも、あんたには洗いざらい話してもらわねぇとな」
俺は胸ポケットからある物を出した。
段「これでどうだ」
それを机へ投げた。
劉「はははっ、ピストル出すかと思ったよ」
私「貴方の事は色々調べさせてもらいました。鉛玉よりそっちの方が良いかと思いまして」
俺の渡したそれから札束を取り出し嬉しそうに数えた。
劉「20年前....、て事は1995年。1月15日。私よく覚えてるよ、あんたと同じく金払いのいい客だった。たしかに日本人の四人組だった。顔はよく覚えてないね。ただ...、悪いことしてきた後だって事は分かったよ」
段「あんたのところにきたって事は」
劉「その内、一人が怪我をしてたよ。背中を打たれてた。日本人中に慣れてないから直ぐにビビる。そいつも治療の間中ずっと泣いてたよ。ごめんなさい、バチが当たったんだって。情けのない奴だぜっ」
私「背中を銃で....」
段「お前なんか思い出せねぇかあの夜のこと」
隣に立つAに問いかける。
私「.....っ、ごめん」
切なくつぶやく彼女をこれ以上問い詰める事は出来なかった。
その夜、いつものバーでイクオにもこの話をした。
龍「背中に傷....」
段「あぁ、なんか思い出せるか?」
龍「うーん.....、ごめん」
段「闇医者が言ってたよ、記憶が消えてるのはきっと思い出したくない辛い物を見たからだろうって。まぁ、気にするなって。俺は何となく覚えてんだ。あの夜の、たしかに銃声は二発聞こえた。」
俺の脳裏には結子先生の撃たれたあの日の映像が鮮明に流れていた。
段「で、お前の方は?」
龍「多分間違えないと思う」
段「そうか....。じゃあさっさと蹴り付けんぞ」
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作者名:翠晶 | 作成日時:2022年1月5日 0時