二十三話 ページ24
奴を始末した俺はAの家へ戻る事にした。
イクオにはこの後の処理を頼みその場を去る。
部屋に戻ると、真っ暗な部屋で小さなうめき声をあげるA。
俺は慌てて駆け寄った。
段「おいっ、痛いかっ？」
近づくと、額からは冷や汗が流れ落ちているのが目で見ても分かる。
私「た....つやっ....？」
薄らと目を開ける。
虚なその瞳に俺は吸い込まれるような感覚に陥った。
私「ごめ....んなさ...い......」
震えるその声が俺の鼓膜を揺らす。
段「何言ってんだ、いいから寝てろ。痛み止めなんかあったか？」
部屋の中を探そうとするが、そんな俺の手をAが手を弱々しく掴む。
私「ここに、いて....」
じっと俺の方を見つめ、そんな事を言ってくる彼女。
そんなあいつに俺はどんどんと堕とされていく.....。
段「分かった....」
表情には出さないように必死だった。
嬉しくて緩みそうな頬を必死に保った。
俺は彼女の横に添い寝をした。
気がついたら窓から神々しい朝日が差し込んできていた。
段「っ...、寝てたっ.....」
やってしまった....。
こいつの隣にいると迂闊にも寝過ぎてしまう。
私「んっ......、おはよ」
まだ眠そうな目を必死に擦り開けるA。
段「寝過ぎた....。俺は出るけどお前は休んでろ」
私「私も行く。一日寝たから大丈夫！」
お腹を庇いながら起き上がるAの姿を見て俺はつい、痛いところを指で優しく押した。
私「っ〜！！！？」
痛みで音のない叫び声を上げるAを見て思わずため息を吐いた。
段「若頭からの命令だ。休め。後でイクオに顔出させるから」
文句を言いたげな彼女を残し、仕事へと出た。
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作者名：翠晶 | 作成日時：2022年1月5日 0時
