二十二話 ページ23
その日の夜、空き部屋で一人針刺しの練習をしている佐倉さんを見つけた。
私は空いてる椅子に座り腕を出した。
私「はい、どうぞ！」
キョトンとした顔で私の腕を見つめる彼女。
私「練習、私の腕でよければ使って。」
佐「...、いえっ、そんな！先生の腕は借りれません...！」
なんだか思い詰めた表情になり、注射の蓋をしてしまった佐倉さん。
私「ごめんなさい、迷惑だっかしら...。」
佐「いえっ！違くて.....、今日、天堂先生に恋人が居たって聞きました....。」
私「そう....。」
そうだ、彼女のこと知らないのよね。
私は戸惑った。
佐倉さんにどう返してあげればいいのか....。
佐「どんな方だったんですか...？」
真っ直ぐに私を見つめてくる佐倉さん。
私は彼女に伝えるべき言葉を必死に紡ぎ出した。
私「そうね.....、ショベルカーみたいな人だった。」
佐「えっ....？」
思いがけない返答に佐倉さんは唖然としていた。
私「ふふっ...、研修医だった頃にね、何十年かに一度の大雪が降ってね、電車もバスも止まって誰も来られないって時に、大雪かき分けて歩いて来たんだよ...。大丈夫、私冬好きだからって...。」
みのりのあの笑顔を思い出しつい笑みが溢れた。
私「強くて、真っ直ぐでいつも前を向いてて。いつも私達を支えてくれて.....っ。でも、研修中に体調が悪くなって、最後は私達3人で看取った.......。その時が天堂くんが涙を流した最後の日だったの....。それ以来、大泣きする事も、お腹抱えて笑う事も無くなった.....。」
私は思わず涙を流した。
私「いつか、....、いつかまたあの時みたいな天堂くんに戻ってくれたらって、ずっと思ってはいるんだけど、中々ね.....。」
佐「あみ先生は天堂先生の事好きなんですね....。」
私「.......、うん、みのりと付き合う前からずっと....。8年近く片想いしてるなんて笑っちゃうよね...。ごめんね、今まで言えなくて....。」
佐「私...、気づいたんです。先生といる時の天堂先生はどこか優しい表情をしてるって...。きっと、天堂先生の心を救えるのはあみ先生なんだと思います。」
私「佐倉さん....。」
佐倉さんの思わぬ言葉に止まりかけていた涙は再び溢れ出した。
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翠晶(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！！ (2020年3月11日 20時) (
レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 翠晶さん» とても素敵なお話でした…!! ありがとうございました！ これからも作品、応援してます！ (2020年3月9日 1時) (レス) id: 12651b5551 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - ayaさん» 最後の一話分だけアップが遅くなってしまい申し訳ありません！！お気に召して頂ければ幸いです！今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月8日 22時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 翠晶さん» ありがとうございます！！！ とても素敵なお話…。感謝です！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 12651b5551 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - ayaさん» いつも読んでいただきありがとうございます！！リクエスト承知しました！！明日には載せられると思いますので是非読んでください^_^ (2020年3月7日 21時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠晶 | 作成日時：2020年2月15日 21時
