ドッペルゲンガー【太宰治】

十三 ページ15

敦「溺死って....」



太宰「こんな浅く小さい池で溺死...、池という可能性は少ないですね。報告書にもそう書いてありますが、暴れた形跡も周囲に水滴が散乱していることもない...。

何しろこんな小さい池だ。他殺の場合、頭か首元を掴んで水面に抑え込むはず。

睡眠薬の効果もないらしい....となれば、溺死という死因の方がおかしいくらいの脱力感と死に顔ですね。」



もし気絶してその間に....、

いや、幾ら気絶していても溺死はとても苦しいはず。空気がないのに気づかなかったというのは....





乱歩「太宰もやるよねー、そうなんだ。
この中で溺死が一番しっくり来ない死因だ。

何より野咲道江の身体が濡れていない。そして溺死の特徴である手が開きっぱなし。力強く掴んだ形跡も残っていないし、泡もない。

溺死と言うにはおかしい死に方だ。」




与謝野「何故溺死にしたのかねぇ...。こんな例外もあるものか？溺死にしては遺体が綺麗すぎる」




A「....でも、繋がりはありますね。」




敦「繋がり？」




乱歩「君なかなか鋭いね。

死因や被害者の症状だ。溺死、窒息死、脳梗塞。

...多分、脳梗塞は低酸素症が招いたことだろう。」




ナオミ「ということは、酸素不足による死亡...ですわね？」



敦「酸素不足....？でも何故それは溺死と関わりが...？」

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