下剋上その1 ページ2
────そんな感じでなんか前世の記憶を思い出しました。
気付けば寝かされていた布団の上で、天井を見つめながら私は死んだ目をする。
前世を思い出したというのによくもまあ静かなこと。己の順応能力に嫌気がさすぜ。
多分あのいじめられてた人が私を助けてくれたんだろう。口元に傷があるちょっとワルっぽい黒髪ナイスガイ。まぁあん時はそれどころじゃなかったからあんま覚えてないけど。
それにしてもあの外道共がよォー!!!こんなに可愛い私という幼女を痛めつけるとか人の心とかないんか?!子宮に慈愛の心忘れてんぞ!!!
『アイツら絶対許さん…』
「オマエ起きてたのかよ」
『ッピャッッ?!』
あまりの驚きで変な声が出た。
慌ててバッと上体を起こすと、襖の前であぐらをかいている例のナイスガイが視界に入った。
『あ、お、おはようございマス……』
「今はもう夕方だ」
『あっハイ』
うわ〜!何この人思ってたより尖った雰囲気してる〜!
言うなれば半グレの青年だろうか。非行には走りつつも捨て猫は拾っちゃうみたいな性格してそうだ。
『…あの、助けてくれてありがとうございます』
「別に」
『……』
てめえコミユニケーションって知らねえのかクソガキが。
といいたいところだが、今は彼の方が歳上なので口を噤んでおく。だが忘れるなよガキンチョ。中身は私の方が歳上なんだからな……!
「……オマエ、ああやって俺を助けようとすんのはやめろ」
『えっ?』
「俺がアイツらにやられてんのを止めんなって話だ。
オマエはガキだから知らねーのかもしれねえが、俺は呪力が無え。この家で呪力が無いっつーことの重大さくらいはわかんだろ」
”ジュリョク”……。その言葉を聞いてハッとする。
これは前世を思い出していない時の記憶だが、この家のカーストというかヒエラルキーは、性別以外に”呪力”やら”術式”などというものによって決められる。
いやいやどこのバトルファンタジーですか、と笑いたいところだが、これが生憎ガチなのだ。
この世界には呪霊と言われる怪物が存在し、それを祓う呪術師も存在する。
そしてその呪術師を多く輩出しているのがここ。
呪術界でも屈指の実力派揃いと言われる家柄の「禪院家」であるということだ。
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アリス(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです( ˙˘˙ ) (2022年3月10日 23時) (レス) @page14 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ボーダーラインさん» そう言って貰えて嬉しいです!応援ありがとうございます!頑張ります! (2022年3月10日 17時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - キャプションで食いついて一気に拝読させて頂きました。あー主人公の性格好き!「下剋上して♡」の団扇とペンラを振りながら読んでしまった…。甚爾に最後で爆弾を投下していくスタイル、いいですねぇ。五条との邂逅も気になる〜!ペンラ振って更新待ってます!! (2022年3月10日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます!がんばります! (2022年3月9日 18時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 更新待ってます!! (2022年3月9日 5時) (レス) @page8 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝋燭 | 作成日時:2022年3月7日 21時