5撃目 ページ8
「Aちゃんお疲れ〜」
「おう」
放課後、オカルト研究部の部室でそう声をかけてきたのは同級生の佐々木。眼鏡をかけたおかっぱのオカルトマニアで、私の数少ない友人の一人である。
爺ちゃんが入院して早一年。私は高校二年生に進級し、弟の悠仁は高校一年生として私と同じ地元の高校に入学していた。
強くなってから数年経ったが、依然として私はヒーロー活動を続けている。
そういえば私の弟について話していなかった気がするので紹介しよう。
弟の虎杖悠仁は一言で言うと典型的な良い奴だ。その性格は正に明朗快活。
家事スキルヨシ!性格ヨシ!ルックスヨシ!身体能力ヨシ!と一家に一人虎杖悠仁である。私が嫁に欲しいところだ。
佐々木に続いて同級生の井口も部室にやってきて、お互いに挨拶を交わす。井口……は、特筆すべきところは無い。普通のヤツだ、うん。
同級生二人から視線を外し、手元にある週間少年誌を見る。
実のところ、この世界にはワンパンマンが存在しない。インターネットでどんなに調べても出てこなかったため、その日私はショックで寝込んだ。
クソッタレが!!こんな世界ぶっ壊れちまえ!!ワンパンマンが読めない世界なんていらねえ!!!
地元の山が一つ犠牲になった。
「Aちゃん見て見て!ジャーン!」
私が週間少年誌を読んでいる最中、そう言って佐々木が見せてきたのは一枚の紙だった。ズラリと並んで書かれた五十音と、その上に記された赤い鳥居。そして鳥居を挟んで「はい」と「いいえ」の言葉が書かれていた。
「今日は───コックリさんをやります!」
「そうか」
「反応薄くない?!?!?!」
「私そういうの興味ねぇよ」
貴様はそれでもオカ研かぁーー!!!という佐々木と井口の叫びを無視して、週間少年誌に目を戻す。
私がオカルト研究部に入ったのは単純に前の部活が嫌だったからだ。うちの学校は全生徒入部制。特にやりたい事もなく適当に気楽そうな合唱部へ入部したのだが、割と本格派で見当違いの部活だったのである。
その後はお察し。普通に面倒くさくて申告せずに部活を休み、顧問の小言からも逃げた。だって部活終わる時間遅いんだもん。爺ちゃんの見舞いも飯の買い出しにも行けねーよ。
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まゆ(プロフ) - ドストライクです!更新待ってます (2月16日 21時) (レス) @page13 id: 808ea90ce0 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう(プロフ) - 尊き (7月12日 16時) (レス) @page13 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
なつ。(プロフ) - 面白すぎます…!これからも頑張ってください!!続き待ってます! (2022年2月7日 0時) (レス) @page13 id: ea9f89257f (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 面白いです😂続き楽しみです🎶頑張ってください🎌🔥応援してます!! (2022年1月13日 23時) (レス) @page13 id: 91b6b6a73d (このIDを非表示/違反報告)
ん - あけましておめでとうございます!更新ファイトです、応援してます! (2022年1月3日 20時) (レス) @page12 id: 82356caa87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝋燭 | 作成日時:2021年12月3日 1時