昔馴染みとの約束_4 (ページ26)

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約束_106 ページ26

春高、2日目

2回戦、早流川工業との試合が始まったが.....

「むぅ.......」

少しの違和感
いつもとは違う、相手側の雰囲気

これは...

「気付いたか？A」

「あ、はい。多分、研磨を走らせる為の攻撃、ですかね」

「あぁ.....」

点数としては音駒がリードしてるけど
先程から上手くノれていない

早流川にリズムを崩されているってこと

あえて1発で決めに来ず
何とかボールを上げさせて、崩す

研磨をバテさせるのが目的って感じか

いやでもその作戦、ウチ相手には
めちゃめちゃ根気も実力も要りますケド！？

「全国こっわ！」

「ほっほっほっ！そうだなぁ」

あぁでも、いいなコレ、この試合
粘りで競り合う、こういう試合

研磨は嫌いだろうけど、わたしは好きだ

「ほれほれ座れ！出ずっぱり組は座んな！はいドリンク」

1セット目、2回目のタイムアウト
ベンチに戻ってきた研磨を真っ先に座らせる

「.....元気だね、A」

「研磨と違って走らないからね」

「変わる？」

「変わらない」

これだけふざけた会話に着いてこれるなら
まだまだ大丈夫だろう

.....きっと！

その後、1セット目をなんとか取りきり

続く2セット目

「........研磨、だいぶバテてきましたね」

早流川の作戦により
研磨の疲れが目に見えてわかるようになってきた

あぁ、またアンダーで上げてる

「だなぁ。素晴らしい選手達だ」

「いくら作戦だからって言っても、それを実行するには相当のレベルが要りますからね」

まぁでも

「実行できるレベルがあったって、それは相手側の話です」

わたし達は、”音駒”なので

「相手を探って、慣れて、見極める。いつも通りですから」

粘りで負けちゃいられない

”ただのガマン比べは、つまんないな”

”皆は根性の使い手だから”

試合もそろそろ終盤、勝負時

研磨の集中力もスタミナも限界が近い中
先程の研磨の言葉について考える

研磨が嫌い、山本がよく言う
努力や根性って言葉は抽象的だ

わたしは嫌いじゃない、けど
そんな言葉で片付けてしまうのは勿体ないと思う

しんどい練習も、何本も繰り返してきた”丁寧”も

努力や、根性なんて言葉じゃあ、足りない

「ふふっ、ウチの連中は負けず嫌いだからね」

そんな言葉で収まるようなヤツらじゃないのだ