約束_54 ページ2
あれは高校2年の春頃
学年が1つ上がって、研磨達が入部してすぐの頃だった
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「天雲〜、俺部室に忘れ物しちゃってさー、悪ぃけど取りに行ってくんね?」
練習の合間
わたしを呼び止め、そう頼んできたのは当時の主将だった
「………………わかりました」
練習中は、主将とクロの2人から部室の鍵を預かってるわたしは、本当に、本当に渋々と了承して、部室に行ってくる旨をクロに伝えて体育館を出た
「自分の忘れ物くらい自分で行けよ、ガキか」
確かに練習をスムーズにしてもらう事がわたしの仕事だし、皆が困っていたら手助けするのがわたしの役目ではある
が、自分のミスの尻拭いまでしてやるつもりはないし
そもそも、いっつもパシられてるだけで腹立つ
そんな不満を漏らしていると、部室が見えてきて……
違和感を覚えた
部室の扉が、少し開いている
練習前、部員の皆が着替え終わった後はいつも、クロが鍵を閉めてるし、わたしも鍵を預かった後確認してる
皆の荷物や部の備品を置いてあるので
戸締りには細心の注意を払ってるつもりだ
今日だってちゃんと閉まってた
……あ、主将、今日鍵忘れたって言ってたっけ
もしかしたら、拾った誰かが悪用してるのかも
そう思ったわたしは、慎重に扉に近づいて中を覗いた
「……でさ〜、マジあの2年のマネムカつくんだけど。彼氏めっちゃアイツの事褒めてるし、黒尾君とも距離近いしさ〜」
あれは3年生の……え、片方、主将の彼女さんじゃない?
もしかしてあのクソ主将、彼女に鍵盗られたの?
「だからってここまでやるなんて大袈裟でしょw」
「いいのいいの!アイツが私の彼氏や私が狙ってる男に手ぇ出すのが悪いんだから」
前半はまぁなんとなくわからなくもないけど……
後半はそちらもどうなんだと問いたい
彼氏に手を出されて(出した覚えは無い)怒っているのに
自分は他の男に手を出そうとしているのは矛盾でしょ
いや、今は置いとこう
問題は、そんな先輩が何をしようとしているのか
何やらゴソゴソと部室の中を物色する先輩
貴重品目当てではないみたいだけど……
今のうちに誰か呼んで……
「あ!これとかいいじゃない?」
「マジでやんの?」
「当たり前。身の程ってヤツをわからせてやんのよ」
そう言ってハサミを取り出した先輩を見て、背筋が凍った
ダメ、それはダメ
「”それ”はやめてください」
気づいたら、先輩の腕を掴んでた
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作者名:ama | 作成日時:2024年3月20日 1時