Episode2 ページ3
何か事件でもあったんだろうか、フロイドは気分屋だけど事件が無ければこんな事しないだろうし…。
ジェイドとアズールは真面目だから…尚更考えられない。
あの三人が私を監ｷﾝしてもおかしくない事件…。
それは一体どんな事件？
ｶﾞﾁｬﾘ
扉を開ける音でハッとする。
瞬間、直ぐに空気が冷たくなるのを感じた。
「姉さん気分はどうでしょうか？何処か痛くはありませんか？」
そう言ってするりと手が伸び、私の頬にジェイドの手が触れる。そして、愛おしいものを見るような目でゆっくり撫でられた。
そこは、殴られて赤くなっていた場所。
大分時間が経った為赤みは少々引いたが、未だにジンジンと傷んでいる。
「ジェイドったら、自分で姉ちゃんを傷つけた癖によく言うね。
オレは絶対姉ちゃんを傷つけられないけど」
フロイドが笑いながら、最後は挑発的な意味を含んだ物言いでそう言う。
「おやおや、フロイド…これは僕なりの愛ですよ」
ジェイドも私の頬から手を離し、怯まず笑顔で対応する。
「うへぇ…オレは愛じゃないと思うけどねぇ」
またか、フロイドがそう言った時直感的に感じた。フロイドとジェイドは喧嘩する気だ。
どんな事で喧嘩しようとしてるんだか…。
「ジェイド、フロイド。ロゼッタさんの前です。喧嘩するなら別室でやりなさい」
やれやれと呆れた様子で注意をかけたのはアズール。
まぁ、二人の喧嘩は必ずアズールも巻き込まれるので嫌気がさすのも分かりはする。
だけど、今のアズールの言葉でジェイドとフロイドは互いに睨み合いながらも戦意消失したようだ。
「ジェイド、ごめん…」
「いえ、フロイド、僕も悪かったですよ。ごめんなさい」
…ちゃんと直ぐに謝れる辺り、やっぱり二人は性格が良いんだなって思う。
そうすると、ますます何で私を監ｷﾝしているのかが分からない。
『…そういえば、今日は何かありましたか？』
私が居る場所はカレンダーも窓も何も無いから今が何時なのか何月何日なのかさえも分からない。
唯一分かっているのは此処がナイトレイブンカレッジという学校だって事。
もう大分監ｷﾝされてから経つからか、感覚が麻痺している。
「何かあったけぇ？」
「忘れたんですか、今日は式典服を着たでしょう？」
「つまり、新入生が入って来たって事ですよ」
式典服？新入生？
何故かは分からないけど、凄く胸の辺りがざわざわする。
何か良くない事が起きる気配…。
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