特級過呪怨霊’’夏油傑’’【呪術廻戦】

第七話 ページ9

「危険です、下がって。」


「そんな…」


「司埼、伏黒、釘崎…助けるぞ。」


「当然。」


「…」『…助ける…ね。』

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「帳を下ろします。

闇より出でて 闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え。｣


ご武運を、と残して私達を隔離させる。


「夜になってく…！」


「"帳"、今回は住宅地が近いからな。

外から俺達を隠す結界だ。」


「無知め。｣


特級案件にしては少し緩んだ空気で少年院に入る。


「どうなってんだ！？二階建ての寮の中だよなココ！！」


「おおお落ち着け！メゾネットよ！！」


「違ぇよ。」


『生得領域だね。

…この規模のものは久しぶりだよ。』


きょろきょろと辺りを見渡してみる。


先程入ってきた扉は消え、ただの壁になっている。


三人は一点を見つめる私が気になったのか、同じ方向を見る。こういう現象、名前なかったっけ。

まあいいや。


「ドアがなくなってる！！」


「なんで！？今ここから入ってきたわよね！？」


先程までゆるりとしていた空気が引き締まる。


「…安心しろ、コイツが出口の匂いを覚えてる。」


そう言って、いつの間にか呼び出していた玉犬を二人に見せる。


先程まで引き締まっていた空気が玉犬を褒め称える二人によって再び緩む。


「緊張感！！｣


その空気が気に入らないのか伏黒くんが喝を入れる。


「やっぱ頼りになるな伏黒は。

お前のおかげで人が助かるし俺も助けられる。」


「…進もう。」


『おや、照れてるのかな伏黒くん。』

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「惨い…。｣


「三人…でいいんだよな。」


呪霊の被害者を始めてみたのか、言葉を失っている。


「…この遺体持って帰る。」


「え。」


ふと、名札を見る。岡崎。つまり…


「あの人の子供だ。顔はそんなにやられてない。」


『…虎杖くん？』


「遺体もなしで死にました、じゃ納得できねぇだろ。」


虎杖くんはほんの少し前まで普通の高校生だった。


正義感も強い、みんなを助けんとする善人。


「あと二人の生死を確認しなきゃならん。

その遺体は置いてけ。」


それに対して伏黒くんは呪術師としての考えが出来上がっている。


「振り返れば来た道がなくなってる。

後で戻る余裕はねぇだろ。」


「後にしろじゃねぇ、置いてけっつったんだ。

ただでさえ助ける気のない人間を死体になってまで救う気は俺にはない。」


それは命の取捨選択ができる、ということ。

第八話→←第六話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す