ほな、あんたの願い叶えたるで！ (ページ5)

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5話ページ5

「こういうわけや。」

「なるほど。でも僕は天使という存在をまだ信じられません。」

僕がそう言うと、アルは自身に満ちた顔で僕に尋ねた。

「じゃああんた、ええと、あんた名前は？」

「A・ベイカーって言います。」

「Aな。A、あんたの好きなもんいうてみい」

…彼女は僕の話を聞いているのだろうか。

僕は天使の存在を信じられない、と言っているのに、何故僕の好きなものの話になるのだろうか。

「まあ、とにかくそないな間抜けな顔してんと、いうてみい」

と、アルは優しく微笑みながら言った。

「バターケーキ、が好きです」

「よーし、A、目見開いて見とき！」

アルはニカッと笑って、

「出でよ、バターケーク！」

と言った。

「……？何も起こらへん！なんでや！」

「…あのー、バターケークじゃなくて、僕はバターケーキって言ったんですけど…」

「な、なんや、そういうことかいなー。初めて聞いた言葉やさかい、堪忍な。」

アルは堪忍堪忍、と謝ってからすぅーっと息を吸い、

「出でよ、バターケーキ！」

と、今度は正確にバターケーキと言った。

すると、なぜか何もない場所から僕が大好きなバターケーキが出てきた。