〃＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ページ12
雅紀と過ごすようになって
気が付いたことがあった
初めの印象はその人当たりの柔らかさから
のんびりまったりした性格であろうと思っていた
そういった一面も確かにあったが
決断力もあり意外とせっかちで
だからか細かい作業に時間がかかったり
つまずきやすかったり
自分の体が思うように動かないのが
どうにももどかしく感じているんだうな
と思うような場面もあった
一方で
体調が悪そうにぼんやりしている時もあった
以前階段を踏み外して
足首を捻ったと言っていたのも
それらが原因だったのだろうと思っていた
ところがそれだけでは説明できないような
小さなケガをしょっちゅうするようになった
忘れ物や失くし物が増えた
雅紀はもっとしっかりしなきゃ
なんて笑っていたけれど
ある日潤は見てしまった
机の中の教科書を取り出そうと
探っていた雅紀の指先に血が滲んだのを
顔をしかめ黙ってその手を握り
ポケットに突っ込んで教室を出てしまったのを
ホントはこんな事いけないんだろうけどと
少しためらったが雅紀の居ないすきにと
机の中を覗き込み潤はギョッとした
教科書の間に
カッターの刃が剥き出しで挟まっていて
そこには血が付いていたからだ
血液の量がそれほど多くはないことに
深い傷ではなさそうだとホッとするのと同時に
こんな卑劣な事をする奴は誰なのか
フツフツと怒りが湧いてくる
教室を見回してみても
誰もこちらを気にする様子もなく
怪しそうな素振りをする者もいなかった
そして最近の雅紀に対する違和感
それがやっとつながった気がした
誰かに嫌がらせを受けている？
潤の中で最初に浮かんできたのは
自称雅紀の親衛隊を名乗るあのグループ
けれどあれからも相変わらず
雅紀におべっかを使いヘラヘラと付きまとっている
それによく観察してみれば
雅紀に対する好意は本物のようで
とても雅紀に危害を加える連中には見えなかった
となると
高校生活他人との交流を避けてきた潤にとって
どんな人物なのかさっぱり見当がつかなかった
程なくして戻って来た雅紀の腕を掴むと
もう授業が始まるよと慌てる雅紀を無視して
ずんずんと屋上に上がっていった
潤はハンカチにくるんであったカッターナイフ刃を
雅紀に見せるとどういう事かと問い詰めた
大したことじゃないから平気だと笑う雅紀に
潤の怒りが爆発した
友達が傷付けられて平気なわけないだろうと
雅紀は呆然とそれを聞き
その瞳からはポタリと雫がこぼれ落ちた
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43(プロフ) - 大変お待たせして申し訳ありませんでした。見捨てることなくページを開いてくださった皆様、ありがとうございました。亀更新が続きますが、完結目指してカーソルはノロノロと進んでいっております。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。よろしくお願い致します。 (2021年5月12日 21時) (
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作者名：43 | 作成日時：2021年5月12日 21時
