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カ「ねー」

『うん』

カ「一緒にお風呂入ろー」


空気を壊すように、わざと間の抜けた声色を使うカンタくんにならって努めて力を抜いて喋る。

『…? わたしさっき入ったもん』

カ「…金曜のさー、会社の飲み会帰りでさ、お疲れなのに俺がいたから超急いだでしょ。うちにいたときお風呂長いからって最後に入ってたのにさー」

『…そんなことないもん』

そこまで気付いてもらえて嬉しいのと、一緒に入ることのハードルの高さでぐらぐらと気持ちが揺れる。唇を尖らせて、ふい、と目を逸らすことしかできない。

カ「・・・・よいしょ」

抱きしめたまま、わたしを抱え上げたカンタくんにびっくりして暴れる。こ、こんな、抱っこされるとか、

『む、無理、お風呂とか無理!』

カ「いきましょー」

『絶対に嫌だ!』

カ「高校のときプール行ったじゃん、一緒じゃん」

『水着! き!て!た!』

カ「あんなものはただの化学繊維です」

鼻歌を歌いながらわたしを脱衣所でおろすと、夜なんだから近所迷惑だよ、とカンタくんが言った。ご丁寧にシー!と言って人差し指を口の前に立てる。
なんで、きゅうにこんな、試練が、


カ「はい脱いで脱いで」

『・・・どうして今日、そんなにイジワル言うの…?』


どうしても決心がつかなくて心底困り果てて、すでに上裸になった彼氏にすがるように嫌だ、と懇願する。ほんとうに恥ずかしい、泣きそう、

『お願い、』

わたしの様子を察知したカンタくんは、わたしを見ると唇を歪ませて笑う。鼻で笑われて違和感を感じるわたしを、カンタくんがじっと見てる。
あ、目、怖い。


カ「絶対やめない」


そうばっさりと切り捨てたカンタくんは、こんな顔知ってたら付き合ってない、ってくらい獰猛な獣の目つきをして、噛みつくような深いキスを落としてくる。目の前の彼がデニムのボタンを乱暴に外すところを目にして、いよいよ自分の置かれている状況を知る。


『ん、…、ひ、ど、』


カ「風呂じゃなくてベッドでもいいよ」


カンタくんは、お風呂で!と途端に態度を変えたわたしを楽しそうに見てから、逃がさないって何回言えばわかるのさ、って言ってたくましい腕で浴室の扉を開いた。



おわり



ハレンチEND

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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます! (2019年9月23日 4時) (レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます!素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます!今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます!学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて2に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…!短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました! (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:社長室 | 作成日時:2019年6月5日 11時

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