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『…とりあえず、まだあっちには帰れないので』
カ「…うん。」
『…』
好き、っていうのは本当なのかな。
ぞれならなんで、あの時ひきとめなかったの。
何年も前のことを引きずって。でも、わたしは好きな人が先輩しかいない。
カ「俺は、ずっと、」
『わかった、って言った』
マックで。
先輩がなんて言おうとしたか察して、つい口から出た言葉。自分から別れを切り出したのに、引き留めてほしかったと言っているようなもので、慌てて謝る。
『ごめんなさい今の無しで。…とにかくお母さんの足がよくなったら連絡します』
カ「…」
『…それじゃ』
カ「連れて帰るって言ったら怒る？」
体を反転させて、玄関の扉に手をかけた瞬間にさっきまでと違う、はっきりとした口調の強い言葉がかかる。
わたしの心の揺らぎを感じたのか、その甘い部分をついてくるような、ずるい、
カ「わかったって言ったの、後悔してるから。…いまさらだけど」
『やめてください』
逃げようとしているわたしを、今日は見逃してくれないらしい。
カ「今日は絶対、一緒に帰る。…かえりたい」
んですけど…
そう言って頭をくしゃくしゃにした先輩は耳を真っ赤にしてため息を吐いた。照れて、そっぽを向いてしまった先輩にきゅんとして途端にどうしようか、迷う。
答えなんかでてるけど、なにをどうしたら、
ドスン！
急に背後で嫌な音がしてそちらに目をやると、わたしのバックが転がっていた。
家のなかにあったはずのわたしのバックが放り投げられたらしい。誰がやったか、なんて、
『えっ』
ガチン！
カ「ふふっ」
『ちょ、なにしてんのお母さん！鍵！鍵開けて！娘締めだすとかなに！！！』
荷物を拾っていると玄関の鍵がかかる音がする。な、な、なんで！なんでお母さん佐藤先輩の味方なの！そんなことある！？
おろおろするわたしを見て、くつくつ笑っている先輩が勝ち誇った顔でささやいた。
カ「…家、来ます？」
『〜〜〜っ、お願いしますっ』
差し出された手をしぶしぶ握ると、とびきり優しい目をした先輩があーよかった、とため息を吐いて歩き出した。
つづく
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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます！ (2019年9月23日 4時) (
レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます！素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます！学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて２に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…！短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社長室
| 作成日時：2019年6月5日 11時
