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ガタン
とうとう椅子から立ち上がってうつむきがちにこっちにくるカンタくん。ニットの袖をぶらぶらさせてかわいいな、って思いつつ逃げ道を探す。
無意識に後ずさっていたらしく、ベッドの隅っこで膝を立てて背中には壁。
『あの、』
カンタくんはゆら、って揺れてベッドに片膝をついて、壁に片手をついた。上から見下ろされて、万事休す。
『あの、えと、』
カ「…うん」
『つい最近、電車でね、』
カ「うん」
『まあそのお尻触られて…あ！すぐ逃げて車両変えて、平気だったんだけど、』
カ「…平気ではないだろうけど」
『…』
油断しててうっかり泣きそうになってしまった。平気ではないことに気が付いてもらって、嬉しくて。涙の代わりに、言葉がぽろぽろ流れ落ちる。
『その、…もし、迷惑じゃなかったら、』
カ「うん」
『作業、終わってからでいいから、抱きしめて欲し、くて』
カ「そんなん今でいいじゃん。…ん。」
両手を広げたカンタくんは、前髪の奥の目が真剣そのもので、本気で心配して本気で話を聞いてくれていることが分かった。そのまま引き寄せられるみたいに胸に収まると、しっかりした胸板が頬に当たる。ふわふわのハグ、本当は大好き。
カ「…」
カンタくんの首筋に子供みたいに頬擦りすると、カンタくんの頭がわたしの頭に乗っかってきて、ぴったりくっついた。
足をどうしよう、って思ってシーツを蹴ると、妙になまめかしくて、頭が沸騰しそうになる。
いま、だったら、
『…今日じゃなくていいから、』
カ「うん？」
『……し、』
カ「…」
『…て、』
カンタside
し
て
ベッドの上、抱きしめにくい体制で、Aを包み込むように抱き締めたまま、思考停止。
数秒経って、ようやく俺の頭は意味を理解して動きだす。フルスロットルで発進、しそうになって慌ててブレーキ。待て待て待て。
Aっていうものが視界に入らないように天井をぐるーんと見て、立ち上がる。体は自然としなくてはならないことをはじき出して、それを実行していた。とりまさっきまでのを保存、マックブックを閉じてリュックに詰めてズボンのポケットから一万円札を出してスマホとまとめて持って。
カ「行こう」
リュックを掴んでキャップをかぶると、パジャマのAに自分のパーカーを渡して、もう部屋を出て廊下に向かう。え？どこに？って顔できょとんとしてるAがおかしくて、少し笑うと、Aんち、って答えた。
つづく
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ささみ(プロフ) - 初めまして。読ませていただきました！カンタくんは勿論キュンとしましたが個人的にりょうくんの話がドツボでめちゃくちゃ癒されました。またお暇があればりょうくんやトミーも書いてくださいね。これからも読ませていただきます。頑張ってください。 (2019年9月4日 23時) (
レス) id: 825eec5e34 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - のんちゃんさん» コメントありがとうございます！嬉しいです〜好みが偏っていて似たような話ばかりですが、読み返していただいているなんて光栄です。妄想する余白みたいなのが好きで、受け取り方を縛らないような話を心掛けてます！これからも胸キュン目指してまったり頑張ります〜 (2019年5月7日 23時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - 初めまして。もう何十回も社長室さんの小説全部読み返してますこんばんは…笑 何もかも好きです。どストライクです。とってもしんどいのです。。占ツク読み始めてもう5年ほど経ちますが、これだけ胸キュンさせられたのは社長室さんが初めてです。大好きです！！ (2019年5月7日 2時) (レス) id: be54e8b475 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 翔海さん» コメントありがとうございます！笑っていただけてよかったです〜ちょっとした話みたいなやつばっかりですが、またよかったら覗いてやってください〜まったり続けていきます〜！ありがとうございました！ (2019年4月20日 0時) (レス) id: 599428703d (このIDを非表示/違反報告)
翔海(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します！！夜の体育...。例え方がまさにカンタくんっぽくて思わず笑ってしまいました！これからも楽しみにしてます！！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: 126ce55151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社長室
| 作成日時：2019年2月23日 23時
