金平糖のような*二粒目[忍たま] (ページ12)

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「Aちゃん、そこの桶とってもらっていい？」
「了解！……はい、おまたせ」
「ありがとー」

「あ、もうすぐお茶無くなっちゃうかも」
「え、ごめんすぐ次の準備するよ。ありがとタカ丸くん」
「いえいえ〜、お願いします」

タソガレ陣営は事前に聞いていた通り、戦中とは思えない賑やかさだった。とは言っても、今賑やかしているのは紛れもなく私たちなのだが。しかしやはり、賑やかされてるってのは異常なことなんだろう。
そしてそんな中で黄昏時甚兵衛の髪結いという、大役も大役を担っているタカ丸くんは流石と言うべきか、手の動きに迷いはないし、お客さん(と、言ってもいいのか？)のこともよく見ている。

「……ハッ。私も負けてられないな」

同じような立場で頑張っている仲間、なんだ。こんなの見せられたら私だって今以上に頑張らないと。見てなさいタソガレドキ！元接客業者の実力、見せつけてあげるんだから！

それからの私は、自分で言うのもあれだけどすっごい、すっごい集中だったと思う。タカ丸くんのように、ずっと黄昏時甚兵衛の側にいなくてはいけないわけではないので、他の売り場にちょいと顔を出して手伝ったり、様子を見計らってそれらをおシゲちゃんたちと黄昏時甚兵衛の所へ持っていったり……。
そしてその中でどうも……どうしても納得“したくない”出来事があった。

「……山田先生。……えええ」
「Aさんシッ！」
「でもトモミちゃん、だって……あ、あーやっぱ何も言わないどく」

かなりヒソヒソやってたのにこっち見る山田せ……伝子さん控えめに言って怖すぎるんですけど？！もう元接客業とか言ってらんないめっちゃ怖いんですけど！
しかもそれにメロメロなのあれが大間賀時曲時なんでしょ？仮にも城主、大名が警戒心も何もなしにその態度どうかと思うのですが！

「ゲテモノ好きよのう……」

はーん！こんなかわいい子に食べさせてもらっておいて？あんな美人さんたちの芸を見ておいて？その言い草ですかこっちも！ていうかこっちもこっちで改めて警戒心無しか！もうほんと、こんなのに捕まって酷い目にあわされてたのかあの子。この恨みつらみ、喜三太くんにはきちんと晴らしてもらいたいよ！
そう思って私はちらりと、作戦開始直前に合流した喜三太くんたちの方を覗き見た。向こうも準備は万端って感じでこっちを見てにこりとするのだった。