笑顔で ＊腐注意 ページ7
学校に特別な思い入れがなくてもひっさしぶりの校舎に足を踏み入れてみたら、どこもかしこも懐かしいもんやな〜。
倉子に『保健室覗いてくる』ってLINEだけして、目的の部屋の戸をスライドさせる。ふわっと漂う保健室独特の匂い。体調崩した時、この匂いを感じると安心した。この匂いは、そのまんま太陽のような彼の匂いやったから。
｢失礼します〜｣
誰もおらんかな？と一瞬思ったけど、すぐに彼を見つけた。窓際の机で寝息を立てている。
｢教師がうたた寝って、平和やな。｣
思わず呟く。起こさないように、ソファにかかっている毛布をそっとその肩にかける。まじまじと寝顔を眺めるうちに、少しいたずらしたくなって肉厚な頬にそっと触れる。
｢あは、やらかい。｣
すると、幅の広い目がゆっくりと開いた。
隆｢…んぁ？｣
｢あ、起きた。｣
隆｢たつぅ？変な夢やな…｣
｢夢ちゃうで、丸ちゃん先生。帰省中なんで遊びに来ましたぁ。｣
丸ちゃん先生はしばらく目をしぱしぱさせていたが、やがて覚醒したようで俺の顔をまじまじとみて、ちょっと慌てだした。
隆｢あ、寝てたんか！あかん、寝てる間に生徒来てへん？｣
｢俺が来てからは誰も来てへんよ？仕事中にいねむりとか相変わらずやな〜丸ちゃん先生、起こしに来たんが信ちゃんやったらこんな優しくないでぇ？｣
隆｢先週それでしばかれたばっかやわ。｣
｢あっはっは、常習やん！｣
隆｢しゃーないやん、この時間の西日の心地良さしらんやろ？｣
｢どーせお昼食べ過ぎなんやろ？｣
隆｢否定できひん…｣
懐かしい。丸ちゃん先生はおもろいから、一緒にいると沢山笑ってまう。
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作者名：らむ倉 | 作成日時：2020年10月23日 23時
