【路地裏の百物語】【CS】ないしょの2月の駅。

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駅長室に二人を入れて、椅子を用意する。
…パイプ椅子しかないけど、いいかな、と考えていると。

「あ、うちらは座れればばなんでもオッケーね。たちっぱはちょいきついかも、わがまま言ってごめんね、絲ちゃ！」
「…そうですか。じゃあ、こちらにどうぞ…！」

パイプ椅子を二脚と、普段座っている丸椅子を向い同士に並べて、座ってもらう。
二人とも興味津々な様子で椅子に腰かけ、いとと向かい合う。
…こういう人って、普段何話すんだろう。わからないから、なにもいえない。

「ねえ絲ちゃん、絲ちゃんって普段は何してんの？」
「…いと、のこと？いとは、普段は…」

なに、してるんだろう。輪廻さんみたいに学校も行ってないし、称人さんみたいに毎晩なにかをしたりしないし…。
あっ、そうだ。

「…普段は、ちょっと変わったお仕事してます。…いと、人じゃないから。…そのお仕事をやるにあたって、聞きたいんですけど…小学校の時、なにか流行ったものってありましたか？」
「流行ったものぉ？なんかあったっけ？」
「わたし、あんまおぼえてない。でもあれじゃね、消しピンとか。あ、あとあれだよ！旧棟南二階のトイレにさ…」

アミさんもそれ！と声をだす。
もしかして…

「トイレの花子さん！うっわ、懐かし〜！」
「それな！あたしやったことないけど、ふざけてやってるやつらいたな〜。全員なにもなかったけどね？」
「そうそう。確か、ドアを三回ノックして、花子さん花子さんいらっしゃいますか？だっけ！あたしたちの通ってた学校、暁山小学校はそうだったよね〜。」

いや〜、となつかしさに浸っている二人。
暁山…いとが、行く学校だ。
特に何の危害もなかったのか。じゃあ、いとも大丈夫、かな…。

「…ぃやば！もう八時半じゃん、そろそろ帰らないと…どうやって帰るの、これ？」
「…あ、ごめんなさい。すぐに電車を呼ぶから。」

真っ先に外へ出て、時刻表を現在時刻に直す。
すると、電車のライトが見えてくる。

「…アミさん、サヤカさん。…でんしゃ、くる。」
「まじで！さんきゅね、絲ちゃん！久しぶりにゆっくり人と話したわ。」
「んね！わたしもありがとっ！じゃあ、ばいばいね！」

電車に乗り込もうとする二人と電車を慌てて止める。

「…いとも、帰らなくちゃ。」
「おっ、やったぁ。まだまだはなそっ！」

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