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「…どうして、ないんだろう。」
自販機で買った冷たいイチゴミルクにストローを突き刺しながらつぶやく。
ちゅーっと甘いイチゴミルクを飲みながら、ぼんやり公園を見渡す。
平日の昼間なので、あまり子供はいない。赤ちゃんとそのお母さんは数人いるけど、こっちのことは気にも留めてない。
人魂を片手に乗せながら、今後をどうしようどうしようと考える。
人魂はひんやり冷たくて、少し暑いこの時期には涼しさを与えてくれる。
飲み終わったイチゴミルクの紙パックをぐしゃりとつぶして、ゴミ箱へ入れる。
「…どうする、まだここにいる?」
人魂にぼんやり尋ねると、人魂はもう行く、というようにいとの手のひらからぱっと飛ぶ。
…もう、行っていいのかな。
公園の門を通り、あたりを見渡す。
「…やっぱり、もう少し人が少ないところがいいかな。」
いとと人魂は、電車に乗ることにした。
「…ちがう。…いとはいとの駅に来たかったんじゃない…。」
げんなりつぶやく。こういう時に限って気まぐれ電車はいとたちを駅に連れてくるのだ。電車を降りて、その場に蹲る。今日はいいことないな。人魂は駅構内をふわ〜っと漂っている。
少し暗い駅に、白く光る人魂。一枚の絵みたいになっていて、げんそうてきだった。
「…帰ろう?…何か気になるもの、あったの?」
人魂は、駅の外の小屋を見つめていた。すっかり廃れていて、だれも住んでいなくて…あっ。
「…あそこ?…行ってみる?…いとの駅だし…良ければ、住む?」
人魂が、くるりくるり、とその場で回り、小屋へ飛んで行った。
…しかし、少しすると戻ってきてしまった。嗚呼、確か前に若い人が来たとき、壁紙をくれたからリニューアル、しちゃってた。だから、落ち着かないのかな。
やっちゃった。
「…ごめんね、もう現世に帰ろう。…頑張って、探すから。」
罪悪感を感じ、うつむいていうと、元気出して、というように人魂はすり寄ってくる。
時刻表をいじくりまわして、電車を待つ。その間、人魂はいとの頭の上を飛び回ったり、駅の端っこを目指して飛ぼうとするも、駅横の咲き乱れるヒガンバナに怯えてすぐ帰ってきたり。
ヒガンバナ、今度整理しよう。伸び放題だ。
やがて、ガタンゴトンと大きな音で来た電車がいとたちを迎えに来る。
「…帰るよ、乗り遅れちゃう。」
人魂が電車に滑り込むとすぐに扉はしまって、また大きな音を立て走り出す。
はやく、人魂のおうちが見つかりますように。
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零麗(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 返信大変遅くなってしまってすみません……! ありがとうございます、とてもうれしいです☺️すごく絲らしくて、地蔵さんとの絡みが見ていてとても微笑ましいです(*´∀`*)ご報告、ありがとうございました🙇♀️🙇♀️ (2022年5月20日 16時) (レス) id: aed0a05f81 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - コメント失礼いたします。事後報告になってしまいましたが、路地裏の百物語企画の派生作品にて絲ちゃんをお借りさせていただきました。何か不都合、キャラ崩壊している等ございましたら遠慮なく御連絡ださい。訂正修正いたします。 (2022年5月3日 14時) (レス) @page3 id: 5cd6e12329 (このIDを非表示/違反報告)
零麗(プロフ) - 海華@国語小テスト32点さん» ありがとうございます~!もちろんです!後でそちらのボードにお伺いさせていただきますね! (2021年7月23日 15時) (レス) id: 85454a74f4 (このIDを非表示/違反報告)
海華@国語小テスト32点(プロフ) - あの、ぜひ僕のキャラと仲良くしていただきたいです! (2021年7月23日 14時) (レス) id: ea2b900886 (このIDを非表示/違反報告)
mitarasi(プロフ) - 零麗さん» 分かりました!お待ちしております。 (2021年7月21日 22時) (レス) id: 1c322805f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:偽名(to.リア友) | 作成日時:2021年7月19日 14時