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「…だいじょうぶ?」
「大丈夫よ、大丈夫…とりあえず、安全運転…」

焦っているのか、額に汗がにじんでいる。
ちなみにいとは今、助手席に乗ってる。ミラーがちらちらして、少し眩しいけど、面白い。
…大丈夫じゃあ、なさそう。

「…ここ、かな。絲ちゃん、振り回しちゃってごめん。いってもいい、かな?」
「…大丈夫。これが、いとの仕事だから。」
「いや絲ちゃん優しいね!?」

中村さんが車から鍵を抜き、扉を開ける。
いとも、反対側の扉を開いて、外に出る。そこは墓地だった。

「白川白川…あ、絲ちゃん、行こう。」

いとの手を取って、どんどん奥に進んでいく。
中村さんが足を止めて、墓を見る。周りより、少し大きいお墓。

「白川千尋…ここ、だ。」
「…あの、中村さん。泣いても、大丈夫だよ。」

ううん、泣かない、とぼんやりと笑う中村さん。
無理してる。無理はよくないのに…。

「あれっ、和歌子ちゃん。会いに来てくれたの?」

墓の前でしゃがみ込む中村さんに、後ろから肩を叩く手。
いとよりは健康的な肌の色をしているけど、かなり白い手。

「ばれちゃったかぁ。」
「…え…」

後ろを振り返る中村さんに笑いかける千尋さん(多分)。
中村さんは目を見開いて見つめている。

「ち、ひろさん…ですか?」
「そうよ。白川千尋。久しぶり。」

ひらひら〜っと手を振る千尋さん。わっと千尋さんに抱きつく中村さん。
なんか、いと、のけ者。いとは、その場から離れて、横にある神社の境内のベンチに座ることにした。



「あ、絲ちゃん!ここにいたんだ。待たせちゃってごめんね。」
「…大丈夫。お礼、できた?」
「うん!にしても、死んでるってわかってたのにね。泣いちゃった。」

あ、そうそうお礼。といとの手にお札を握らせてくる。
数えると…に、さん、よん、ご…?

「…多い。」
「あはは、いーのいーの!私の話に付き合ってくれたお礼も兼ねて、よ。こういうときは遠慮なく!
!それで好きなの買いなね。」
「…ありがとう、ございます。あの、今度一緒に、お料理、しませんか。」

きゅっと袖を握って提案する。断られたらどうしよう。

「えっ、もちろん!たくさんしようね!」

最初より吹っ切れた笑顔で、中村さんはそう言った。

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零麗(プロフ) - 翔べないペンギンさん» 返信大変遅くなってしまってすみません……! ありがとうございます、とてもうれしいです☺️すごく絲らしくて、地蔵さんとの絡みが見ていてとても微笑ましいです(*´∀`*)ご報告、ありがとうございました🙇‍♀️🙇‍♀️ (2022年5月20日 16時) (レス) id: aed0a05f81 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - コメント失礼いたします。事後報告になってしまいましたが、路地裏の百物語企画の派生作品にて絲ちゃんをお借りさせていただきました。何か不都合、キャラ崩壊している等ございましたら遠慮なく御連絡ださい。訂正修正いたします。 (2022年5月3日 14時) (レス) @page3 id: 5cd6e12329 (このIDを非表示/違反報告)
零麗(プロフ) - 海華@国語小テスト32点さん» ありがとうございます~!もちろんです!後でそちらのボードにお伺いさせていただきますね! (2021年7月23日 15時) (レス) id: 85454a74f4 (このIDを非表示/違反報告)
海華@国語小テスト32点(プロフ) - あの、ぜひ僕のキャラと仲良くしていただきたいです! (2021年7月23日 14時) (レス) id: ea2b900886 (このIDを非表示/違反報告)
mitarasi(プロフ) - 零麗さん» 分かりました!お待ちしております。 (2021年7月21日 22時) (レス) id: 1c322805f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:偽名(to.リア友) | 作成日時:2021年7月19日 14時

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