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青 side
五分ぐらい歩いて、店に着いた。
店内には、しぶやんとマルしか居なかった。
「お疲れ〜♪」
マルが明るく迎えてくれる。
「…お疲れ」
てか、何で？
しぶやん、カウンターに入ってるん？
「…ここな、気に入ってたから。店閉めるって聞いたから買うてん。秘密基地兼、応接間や」
そうなんや！
「内緒やで？」
「うん！」
「ほな、何飲む？」
「え、しぶやん作れるの？」
「それはまだ。いつかは、とは思うけど」
「楽しみやな」
「せやろ？」
「…ほな、ヤスごゆっくり」
それまで黙ってニコニコと話を聞いていたマルが、突然立ち上がった。
「え？マルどっか行くん？」
「うん…ちょっと野暮用。終わったら電話するから」
しぶやんが黙って頷く。
マルが出て行く。
おれとしぶやん、二人きり…。
缶のまま、ビールを合わして乾杯。
…何にかな？
「だいぶマシな顔になったな」
「へ？」
「辛気臭い顔、しとったやん」
しぶやんが、咥えた煙草に火をつける。
昔…その時のしぶやんの眉間に皺が寄って…いっつも険しい顔になるのがカッコいいなって、思ってた事を思い出した。
「…そう？」
「しょーもない男にならんように、イチから教えたったのに」
煙と共に吐き出された言葉に、どきっとする。
「…しょーもない男になってる？おれ」
「どうやろなぁ…けど」
しぶやんが、吐き出した煙を見ながら、一回切った言葉を続けた。
「あんまりええ付き合いを…してるようにも見えへんなぁ…」
思わず、絶句して、答えに詰まる…その時、ポケットの中でスマホが震えた。
「ちょっと、ごめん」
取り出した、途端に切れて…ディスプレイを見ると、電話の相手は…おーくら。
「ボン倉か？」
「…そうみたい」
「…しょーもない男に引っかからんように、教えてなかったかなぁ」
「大丈夫やで？それに…今日もしぶやんが助けてくれたやん？おーくらと一緒に」
「そうか？偶々やん」
そう言ったしぶやんが、おれの頭をそっと撫でた。
「こんなおっちゃんの一番じゃなくて…もっとええ誰かの一番になれよ？」
声音の優しさに、涙がカウンターに落ちた。
…こんなおれが、なれるんやろか。
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蒼乃碧(プロフ) - mimiajioveさん» コメントありがとうございました！ようやく移行完了でございます！良かったらまた読んでやってくださいませm(__)m (2018年7月19日 15時) (
レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
mimiajiove(プロフ) - シヨウヨ2楽しみです！頑張ってください！ (2018年7月11日 2時) (レス) id: 15ac791737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼乃碧 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年9月3日 8時
