ドリームアイランドにいらっしゃい (ページ5)

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青家の夕暮れページ5

「ほな、今日もオープンします」

おれが受付カウンターに立ったら、弟二人はドアの前に立つ。

「「よろしくお願いします」」

おれら兄弟やけど、もろもろケジメはキッチリしたいタイプ。

ゲーテッドタウン、ドリームアイランドってオシャレな響きやけど、住んでみたらそんなに新興住宅街と変わらへん。

銭湯もあれば、大衆食堂もある。

ウチは銭湯に行くのが好きなお父さんが、早期退職して始めた、青波の湯やった。

お父さん子やった三男の丈は、兄弟の中で一番手伝ってたな。

その頃、島の外に出てたおれは…恥ずかしながら、叶わない恋に身を焦がしてた。

けど、ええ加減ケジメつけな、と思って島に帰って来たその夜に…お父さんは亡くなった。

お母さんは早くに亡くなってて、おれは長男やからしゃんとせなあかん。

せやけどなぁ…やっぱ、内湯だらけのきょうび、ゲーテッドタウンでの銭湯の経営って想像してた以上にキビシかったんよ…。

銭湯を閉めることも考えたけど、それに丈は大反対。

それも一理あるんよ…うちにはあと二人弟がいて、学費を払わんなん。

特に高校生の五男拓哉はともかく、四男良規の通う音楽の専門学校は、学費がバカ高かった。

けど…兄バカかもやけど、良規には、音楽の才能が有ると思うねん。

せやから、絶対に卒業させたげたいし、拓哉だってそう。

とにかく弟らのためにも、しっかり稼がんと。

そう思ったおれは島で一番商売が上手く行ってる(羽振りの良い)緑家の長男に相談した。

ま、それは良い結果にも繋がったけど、もう二度と思い出したくない我が家と国交断絶レベルの出来事に繋がったワケで…orz

え、聞きたい？

それはまたおいおい分かってくると思うで…？

「アニキ、何ぶつぶつ言うとん？」

「何もないで、流星」

訝しげに見下ろす次男流星に、ちょっと笑ってみせる。

それでは青波の湯、改めクアハウスBlue waves、今日も夕方4時からオープンです。