ドリームアイランドにいらっしゃい (ページ4)

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橙家の昼下がりページ4

「あー、暇」

「いや、それやったらもっと真面目に掃除して下さいよ」

隆照寺の境内にて。

住職のボクと、弟で副住職の照史と二人でお掃除をしています。

「ちっちゃくて、可愛いかったのにもうみんな小学校に上がってしもて…」

数年前までは、ここ、隆照寺では無認可の保育所をしてたんですけど、ドリアイタウンも例外なく少子化の波に飲み込まれ、一時保育がたまにあるだけの開店休業状態…。

ちっちゃい子のお世話が大好きなボクは、寂しくて仕方ありません。

「だから、箒を振り回すだけでなく真面目に掃除を！」

「しゃーなし、やな。世の無常…朝に生まれし赤子が昼には小学校に上がって、夕べには白骨となるんやもん…人ってなんて儚いんや…」

「白骨の御文章をえらいテキトーに…掃かへんのやったら、箒を振り回すのやめて！ゴミが散るだけや…」

「照史、聞いてるんやったらちょっとは相談にのって！」

「へ？」

「『儚い』と『掃かない』なんて、高度なツッコミ入れてるんやったら、ボクの相手、ちゃんとして！」

「せやかて、しゃーないやないですか！ゲーテッドタウンの性質上住民がバカスカ増えるわけやなし！それに…」

照史がさらに言い募ろうとした時だった。

「にーちゃん、電話ー！」

電話の子機を持って、三男の大晴がやって来た。

「誰から？」

照史の声が緊張している。

ボクも…ちょっと緊張する。

檀家も少なく、不祝儀も年に一回あるかないかのお寺でも不意の電話には。

「小学校の先生からー」

呑気な大晴の声にちょっとホッとする。

渡された子機を受け取り、

「お電話代わりました、住職です」

「ご無沙汰してます、崇裕です」

「あらー、どないしたんー」

「ちょっと住職にご相談、と言うか力を貸して頂きたいことがありまして、近々お伺いさせて頂きたくて」

「かまへんよー、いつでも来よしー」

「ほな、決まったら連絡しまーす」

「待ってるー」

いつ来るんやろ。

何の話かな？

楽しみやわ！！

そう思うと、掃除をする箒を握る手にも力が漲るなー！

ボクは元気いっぱい、掃除を再開した。