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「格好良かったね。」
「そんな事ない。」
「そんな事あるって!あの中やったら絶対誠司君が一番やった。」
「それは、Aが俺しか知らんからやろ」
あの後、俺に気を使ったのか両親は早々と引き上げていったけど、Aは門限までに間に合えば良いからと宿舎に残っていた。
時間が経つにつれ、自分の中の罪悪感が増していくのがわかって
あの時、もっと下のボールを要求していたら
変化球の方が良かったんじゃ
いや、チェンジアップでタイミングを遅らせてられてたら
フォアボールの後、ノムのところまで行って、大丈夫やでってお前ならできるよって声かけられていたら
負けたのは全部俺のせいやんって
めちゃくちゃネガティブになってた
俺の気分を上げようと色々と話してくれるAでさえ
どうせ、心の中では俺のこと笑ってるんやろ
なんて最低なこと思ってた
「なあ、誠司くん。」
「何?」
「野球、続ける?」
「わからん。」
でも、今はしたくない。ポツリと呟いた俺にAの表情がさっと曇って。
「あかんで。大学行ってプロに入ってや。昔言うたやん!誠司くんの最初のファンはうちやって。スタンドの一番前で応援するのはうちやねんから。」
本当は嬉しかった。負けたって、どんなに悔しい思いをしたって応援してくれてる人がいるんやって。
だけど
「お前に何がわかんねん」
大嫌いな自分は、素直に君の言葉を受けてくれなかった。
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作者名:ジャス | 作成日時:2019年2月7日 8時