後輩達を甘やかしたい

痛いほどに愛おしい。 ページ31

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熱い血がドクドクと流れ出る。

痛い、痛いけど、順平くんの痛みやお母さんの痛みの方がきっと何倍も苦しいものだったはずだ。


それに順平くんは優しいから、この攻撃にだって優しさが滲んでる。


「Aさん…僕…」


『順平くん、ごめんね… 私、何も出来なくて…
お母さんの怪我を防げなくてごめんなさい、呪術師なのを黙っててごめんなさい』


______貴方を呪ってしまって、ごめんなさい。



ぽろぽろと零れた涙は床に小さな跡を作った。



「ごめん、何も知らないのに偉そうなこと言った。
でも俺だけ何も知らないのは嫌なんだ。何があったか話してくれ。

____俺もA先輩ももう、絶対に順平を呪ったりしない」




***



「そんな…母ちゃんが…」



全て話し合えた順平くんは、私を優しく抱き寄せた。

トゲが奥に入らないよう、壊れ物を扱うみたいに繊細に。



「Aさん、僕の方こそごめん。君に最低なことを言った。後から気づいたんだ…君はあの時母さんを助けてくれたんだって。君が来てくれなかったら母さんはもう今は……」


小さく震える肩を、今度は私も抱きしめた。


『…順平くん、高専に来ない？最強な先生とか、頼りになる仲間がいっぱいいるんだよ』

「それいいな、皆で協力すれば順平の母ちゃんを呪った奴もきっと見つかる。必ず報いを受けさせてやる」


_____一緒に戦おう




『誰！？』


足音が聞こえて振り向くと、背後の階段からツギハギのような顔の人が下りてきた。

否、これは人じゃない。人型の呪霊だ。


「はじめましてだね、宿儺の器」


すると彼の腕がボコボコと変形した。


嫌な予感がして二人の前に立つ。


「待って真人さん！！」


順平くんは彼のことを知っているのかそう叫んだ直後、人型呪霊がその変形した腕で悠仁くんを壁に叩きつけた。


「先輩！順平を逃がしてくれ！！コイツとどんな関係かは知らん！けど今は逃げてくれ、頼む！！」


『順平くん、行くよ！』


順平くんの腕を掴むと、彼は戸惑ったように言った。


「虎杖くん、Aさんも落ち着いて！真人さんは悪い人じゃ_______」


すると人型呪霊が歩み寄り、順平くんの肩に手を置いた。

私は咄嗟にその手をパシッと叩き落とす。


『順平くんに触らないでください』


真人と呼ばれたその呪霊(ひと)の目が私に向けられた。



「あれ、君夏油のお気に入りじゃん」




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