入間の使い魔 ページ14
「ぐぅおおおおああああ!!
ちぎれる、ちぎれる…ッ!!!」
入間の努力は少しズレていたようで、カルエゴが今度は悲鳴を上げた。
「馬鹿者ッ!!こういう時は押すものだッ!!!」
「す、すみませんっ!!!」
この正確な意図は、カルエゴの頭を下に押して戻せという事だったのだが、軽いパニック状態の入間には通じず、彼はあろう事かカルエゴの足を上に持ち上げるようにして押した。
「なっ!!?違うッ!!
足ではなくこちらへ来て私の頭を下へ押し…」
その時にはもう手遅れであった。
入間に押されて足が持ち上がり、ついにカルエゴの全身が召喚陣から出てしまった。
「しまっ……!!!」
ぼふんっ、と大きな音とともに煙が立ち込める。
「なっ!?せんせ……」
次の瞬間、そこにいたのはモフモフの身体に小さな羽を生やしてパタパタととんでいるカルエゴ(?)だった。
「「!!?」」
入間とカルエゴはまたしても顔を見合わせて絶句する。
「………」
カルエゴは汗をダラダラ垂らして固まる入間の前で、静かに己の手を見て、身体を触り、ふっと力なく地面に落ちた。
「先生ーーーーッ!!!!」
「こんな…こんな……ばかな……」
ピクピクと瀕死状態のカルエゴ(?)に入間は心配そうな声を上げた。
「先生!大丈夫ですか!!?
というか、先生なんですか!!?」
「くく、あーははははっ!!なにこれ、!!!ぶふっ!!はははは!!!」
Aは堰を切ったように大笑いを始め、
「入間様…感服致しました…!!!」
アスモデウスは涙を流した。
「何がっ!!?」
「まさか、カルエゴ卿を使い魔にしてしまわれるとは…!やはり内心ではカルエゴ卿の態度にお怒りだったのですね!!素晴らしい見せしめです!!」
「ちがうちがうちがう!!!」
そんな2人とザワつく観衆を他所にAは涙を滲ませながらカルエゴ(?)に歩み寄り、その身体をつまみ上げる。
「なっ!?何をするか、貴様!はなせッ…!!」
じたばたと暴れるが、手乗りサイズのカルエゴにはどうにも出来ず。
「ぶふふ…貴方…ふくっ、ホントに…カルエゴ卿ですかぁ?」
必死に笑いを堪えて言葉を紡ぐが、その目には涙が滲み顔は赤くなっていた。
「くっ!馬鹿にしおって…!!
私は紛れもなく、ナベリウス・カルエゴだっ!!」
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にゃ−ちゃん - とても面白かったです!更新楽しみにしてます! (2021年5月23日 22時) (レス) id: e414f5566f (このIDを非表示/違反報告)
mei(プロフ) - 更新頑張ってください…応援してます。 (2021年5月11日 5時) (レス) id: 7cfed39eff (このIDを非表示/違反報告)
みゅーと - 面白いっすねこれからも更新がんばってくださいね (2020年4月27日 23時) (レス) id: c22a47d948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふーじー。 | 作成日時:2020年3月25日 12時