魔界7日目 ページ9
「続きまして、新入生代表挨拶 アスモデウス君」
入間、Aという名前を口々に囁く会場の注目が逸れた先に居たのは、白い制服に身を包んだ容姿端麗な悪魔だった。
『ナイス!』
「みんなの注目があっちに…」
私と入間くんはまたヒソヒソと彼を称えた。
これで自分たちへの注目が薄まった…
そう安堵していたのだが、甘かった。
「に、代わりまして、特待生 入間君。」
「(何故)」
まさかの代打。
私は自分が指名打者に選ばれなくてホッとする反面、隣で血の気が引いている入間くんへの同情と申し訳なさでいっぱいだった。
「あぁ〜!やっぱり…!!」
そして原因はやはりおじいちゃんの暴走だった。
舞台袖でカメラを構えてニヤついている。
きっと孫が出来た嬉しさでテンションがおかしくなっているのだ。
「入間くん!壇上へ!!」
「うっ、はい!」
催促のアナウンスに、渋々入間くんは登壇した。
は、いいものの、先程から固まってしまって微動だにしない。
『(ノープラン過ぎて動けないんだ…)』
可哀想だが、私に出来ることは何も無かった。
すると、入間くんはどこからかメモのような紙を取り出し、読み上げ始めた。
「あべるはぅけ たるとぅだり」
すると、ザワついていた会場の空気が変わった。
「?いうさべべ りすとぅる あぶるぜ 」
『(なんだろう?急に静かに…?
入間くんが何か言ってるのと関係あるのかな?)』
「すとぅまぬ あべるけ うる まほらば つれざざ…」
ワァアアァァアア!!!
『!?』
「!?えっ、な…?!」
読み終えると一気に会場が沸き立ち、割れんばかりの拍手と歓声が挙がった。
私と入間くんは何が起きたのか理解出来ず、余りの盛り上がりに狼狽える。
「ちょっと君!駄目じゃないか、禁忌呪文なんて唱えたら!!」
「あれ唱えるのは余程の物知らず(バカ)か命知らず(戦士)と言われてるからなぁ」
「『初耳ッ!!』」
私は周りの生徒の話し声から、入間くんは教師から、言葉の意味を知らされそれぞれで青ざめたのだった。
『お疲れ様…』
「うぅ…このままじゃ過保護に殺される…」
入学式が終わって、私は入間くんに声をかける。
入間くんは疲労困憊といった様子でおじいちゃんに物申す覚悟を固めている。
明日は我が身だというから、笑えない。
「おい」
そんな私たちに声をかけてきたのは、先程の白い悪魔だった。
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(´・ω・`) - こんにちは。初めて見たのですがキャラとの距離感たまりません。時間があるとき更新してくれると嬉しいです。応援しています! (2020年5月14日 16時) (レス) id: 8cd34875f0 (このIDを非表示/違反報告)
まそっぷ(プロフ) - キャラとの距離感が好きです ファイッ (2020年4月29日 1時) (レス) id: 2db0c0705d (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - すごく面白くて続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2020年4月7日 17時) (レス) id: 8a8ffa0991 (このIDを非表示/違反報告)
ふーじー。(プロフ) - さゆゆ☆さん» 初めまして!コメントありがとうございます!私はカルエゴ先生ですね!アズくんもこれから活躍する予定ですので、どうぞお楽しみに! (2020年4月6日 1時) (レス) id: fddd5c4c33 (このIDを非表示/違反報告)
さゆゆ☆ - すごく面白かったです!私はアズくん推しなんですけど、ふーじー。さんは誰推しですか? (2020年4月4日 6時) (レス) id: ac463600dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふーじー。 | 作成日時:2020年3月25日 1時