5 ページ5
パタンとドアを閉めて2人は出ていった。
月島軍曹は命令通り見張りをするのだろう。
今この身体では逃げるはおろか長く話すことすら出来ない。
どこかチャンスを狙って脱出すれば、アシㇼパちゃんのグループに匿ってもらえるかもしれない。
でもどうやって逃げる？
体は動かすだけで悲鳴をあげるし、見張りもいる。夜は鍵がかけられたり通夜番もいるに違いない。
考えながら息を少しづつ整えるが、疲労のせいもあり、一歩、また一歩と睡魔が襲ってきた。
アニメや漫画と違い、実物を目にすると圧力が桁違う。
想像以上に体力を消費したようで身体と意識はすぐにあの微睡みに沈んだ。
ひんやりとした湿布の感覚で目が覚めた頃には一通り治療は終わっていた。
医師に聞くと脚、腕の骨折及び捻挫と打撲。
細かいのをあげればキリが無いが命に別状はないらしい。
あんなスカイダイビングするような高さから落ちてこの怪我とはと思ったが、もうなんでもありの世界なのだろう。
そもそも私が生きていた現実世界の過去とも限らない。
金カムの世界はパラレルワールドであり、少し仕組みが違うというのも有り得る。
何も分からない絶望に気が病みそうだったが興味ありげに医師が口を開いた。
「君は普通の人に比べて身体が強いらしい。」
『…どういうことですか？』
そのままの意味だと医師は言う。
「現場の様子を聞いたが割れた机と君の怪我の大きさが一致しない。普通粉砕骨折の箇所があってもいいくらいだ。」
被害があったのは資料と机、このふたつらしいので落ちた時のエネルギーは全部それに移ったのだろうか。
なんとも奇妙な話だ。
「暫くは安静にね。痛みが酷い時は…そうだな、見張りにでも頼むといい。」
『あ、ありがとうございます』
やはり見張りは着いたままか。どこにも行けはしないのに。
医者が出ていくとまた部屋に静かさが戻ってきた。
何もすることがなくぼーっと天井を見ているとまたドアが開く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結弦(プロフ) - 鉄子さん» ありがとうございますー！！あの怪しい雰囲気の描写ができるように力入れているので嬉しいです！！！ (2020年2月11日 14時) (
レス) id: 207a5d7362 (このIDを非表示/違反報告)
鉄子(プロフ) - 本当に面白いです。金カム独特の狂気的な物を感じられてみていてワクワクします！最高です！ (2020年2月9日 1時) (レス) id: e3cf47a63e (このIDを非表示/違反報告)
境 - 全てが、、、、、、、好きピ！！！！！！ (2020年2月5日 17時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
結弦(プロフ) - ありがとうございますー！！面白い！？！？励みになります！！(涙) (2020年1月30日 14時) (レス) id: 207a5d7362 (このIDを非表示/違反報告)
境 - 夢主ちゃんが良い子だ・・・・・。 お話も面白いし、最高！！ (2020年1月27日 20時) (レス) id: 7788c7aee9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：福寿草 | 作成日時：2019年12月19日 23時
