Broken Rainbow (ページ4)

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EP:04 ページ4

「あんなー、お前らと違って俺は暇ちゃうねん。」

「暇やろ、客おらんやん。」

「さっきまでいたわ！！アホ！！これやるから、さっさと帰れ！」

そう言うと、ジョウイチロウはセイヤの顔面に書類が入った茶封筒を投げつけた。

「ひっどー。客言うたって、どうせ猫がおらんとか、浮気調査とかそんなんばっかりやろー。」

「そういう仕事が意外と儲けになんねん。お前らの仕事なんか危険やのに、大して金にもならんし、ほんま割りに合わんわ。」

『藤原探偵事務所』

と書かれた雑居ビルの２階のオフィスの応接室で、ジョウイチロウは自分の前でニコニコと笑うセイヤとマサヤに聞こえるように舌打ちをした。

「そもそも、お前。来る意味ないやろ。マサヤだけで十分やん。情報受け取るだけなんやから！」

「まあまあ、ジョウ君。せっかく、セイヤくんが久しぶりに来てくれたんですから。」

ジョウイチロウを宥めながら、セイヤとマサヤの前にティーカップを置いたのは、所員のガク。

もう一人事務所内にいる、所員のダイチは見飽きた光景に興味を示さず、パソコンに向かって仕事をしている。

「ガク、こいつらに、もてなしなんか要らんねん。お前らもそれ飲んだらさっさと帰れよ！」

応接室のドアを乱暴に閉めて、ジョウイチロウは、自分の机に戻っていった。

随分、嫌われたもんだ。まあ、昔からジョウとはライバルで多少バチバチしていたけど。

「照れ隠しですよ。」

ガクがおかしそうに、そう笑う。

「まあ、僕一人の時は、あんなにジョウくんテンション高くないですからねぇ。」

マサヤにも付け加えられて、年下二人の言葉にセイヤはなんとなくむず痒い気持ちになって、紅茶を勢いよく飲み干した。

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「邪魔したなー。ダイチもまたなー。」

「あ、待ってスエザワ。」

「苗字はやめろって。」

「ああ、ごめんごめんセイヤ。」

『苗字は捨てろ。お前の復讐にとっては邪魔になる。』

あの日、横山に言われた言葉をセイヤは忠実に守っていた。

「これ。横山くんからの追加情報。」

ダイチから渡されたのは、赤いUSBスティック。

赤のUSBスティック、つまりグループには関係ない自分の案件の情報。

「ありがとう、ダイチ。」

さっき紅茶を飲んだばかりなのに。喉の渇きが増して行く。

USBと同じ真っ赤な血の色。

瞼を閉じればいつでも浮かぶ。

あの日の真っ赤に染まった血の海。