Broken Rainbow (ページ5)

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EP:05 ページ5

「ほな、そろそろ開店すんでー」

リチャードの声がホール内に響く。

マサカドは、ギターのチューニングをしながら、

「はーい」と答えた。

だいぶ古くなったマサカドのギターは、父親の形見だ。

施設に入るときに、マサカドが唯一持っていったもの。

両親との思い出は、マサカドにはもうあまり残っていない。

マサカドの10歳の誕生日。

笑顔で家を出て行った両親と、大好きな姉が帰ってくることは無かった。

飲酒運転のトラックとの正面衝突。

10歳のマサカドには見せられないような惨状の遺体だったと、後から親戚から聞いた。

今の自分を両親や姉が見たらどう思うだろう。

軽蔑するだろうか。悲しむだろうか。

それでも。

『マサカド、やんな……..?』

『セイヤくん......？』

『何してるん、こんな所で。』

あの雨の日、セイヤに救われなければ自分は生きていないのだから。

仲間のためなら、この手を汚したって構わない。

両親や姉ちゃんがいる天国に、自分はきっと行けないけれど。

５人となら地獄だって、構わない。