陸 ページ6
随分広い廊下をあっちへ曲がりこっちへ曲がり、
襖を開けては閉めてようやく
菫とかかれた部屋の前にやってきた。
どこを通れば帰れるのかもうさっぱり記憶していない。
まるで迷路。
慣れたらこの男の子のようにすらすらと
歩けるようになるのだろうか。
『崇裕、』
数秒あってから返事があった。
なんと言ったのか聞き取れなかったけど、
構わず男の子が襖を開ける。
どんな表情でいればいいのか分からず
とりあえず唇をきつく結んだ。
なんといっても最高責任者。
粗相をすればきっとすぐに…
｢おー望、帰ったんかあ｣
『帰ったも何もずっと敷地内おるわ、それより崇裕。迷子やで』
なんだか気の抜ける声。
それに加えて優しそうな顔に線の細い体は、
失礼ながら予想とは大きくかけ離れていた。
きつく結んだ唇がぽかんと開いてしまう。
ま、まあでも意外とこういう人がトップだったり
するところも少なくないし。
人は見かけによらないし、最高責任者と言うからには
それなりの力があるんだろうと思う。
というかこの男の子、望っていうのか。
｢迷子ぉ？どの子やどの子や｣
何か作業をしているらしい手を止めて
きちんと真っ直ぐこっちを見た。
崇裕、と呼ばれた彼の顔が
固まった。
目を丸く見開いて、口もさっきの私のように
ぽっかりと空洞を作って。
そんな表情を向けられる心当たりは何もない。
私のことを知っているとでもいうような勢いだ。
｢なんで…なんで、ここに、｣
『崇裕知り合いやったん？』
望くんが私と崇裕さんの顔を見比べる。
私は首を傾げるしか出来ないけど、
崇裕さんの顔はやっぱり変わらない。
何だろう。
ここは分からないことがいっぱいだ。
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はのん(プロフ) - カジャさん» すごいです！1話でもめっちゃ嬉しくて興奮してしまいました！！ありがとうございます！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page50 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 全く考えていなかったため、このように1話のみとなってしまいましたが…リクエスト、ありがとうございました。 (2022年10月4日 15時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - そんな風に言っていただいて嬉しいです！望くんと濱ちゃんのその後を書いて欲しいです！ (2022年10月3日 18時) (レス) id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 応援ありがとうございました。はのん様の言葉がとても力になりました。その後、というのは望くんサイドでしょうか？それとも夢主と流星とのお話でしょうか？ (2022年10月3日 14時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - 全部読ませていただきました！終わってしまって寂しいです。もしよければ、その後どうなったかのおまけ的なの書いてほしいくらいです！ (2022年10月2日 21時) (レス) @page49 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月11日 21時
