漆 ページ7
しばらく時を止めていた崇裕さんの顔が
再び現実へ帰ってきたようだ。
時間にすれば数十秒だったと思うが、私には随分長く感じられた。
私も何とか記憶を辿ろうとしてみたけど、やはり頭の中は
空っぽで崇裕さんのことが出てくるわけもなかった。
この部分だけが抜け落ちているとかでもなく
本当に記憶を司る部分が空洞なのだ。
『おい、こいつどうすんねんて』
｢あ、あぁそうやな、名前は？｣
｢…覚えていません｣
『なんも覚えてへんねんて』
崇裕さんの顔が一段と曇る。
私のことを何か知っているようだけど、何も覚えていない
素性の知れぬ女を置いておくのは確かにデメリットしかない。
人の上に立つのは優しさだけではやっていけない世界だろう。
世の中の道理は、こんな場所でも変わらない。
｢…そうかぁ、しゃあないな、お嬢とでも呼ぼか｣
『全然お嬢には見えんけどな』
｢お嬢、しばらくウチに居り。慣れてきたら仕事手伝ってもらうし
それまでは望について色々見といて｣
若干の違和感が拭えないものの、
私の呼び名はお嬢ということになったようだ。
まあそれが1番呼びやすいだろう。
崇裕さんの優しさにより私はここに居ることを許された。
望くんが顔を顰めてるのには気付かないふりをしておこう。
｢望、
『空いとるな』
｢そこお嬢の部屋にするし案内したって｣
はいはいと望くんが手を振って、行くぞと視線で私に話しかける。
足の長い彼は行動が早くて、私は少し慌てなければならなかった。
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はのん(プロフ) - カジャさん» すごいです！1話でもめっちゃ嬉しくて興奮してしまいました！！ありがとうございます！！！ (2022年10月4日 21時) (
レス) @page50 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 全く考えていなかったため、このように1話のみとなってしまいましたが…リクエスト、ありがとうございました。 (2022年10月4日 15時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - そんな風に言っていただいて嬉しいです！望くんと濱ちゃんのその後を書いて欲しいです！ (2022年10月3日 18時) (レス) id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - はのんさん» 応援ありがとうございました。はのん様の言葉がとても力になりました。その後、というのは望くんサイドでしょうか？それとも夢主と流星とのお話でしょうか？ (2022年10月3日 14時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
はのん(プロフ) - 全部読ませていただきました！終わってしまって寂しいです。もしよければ、その後どうなったかのおまけ的なの書いてほしいくらいです！ (2022年10月2日 21時) (レス) @page49 id: eb6042d99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2022年9月11日 21時
