She does not put a lie. (ページ11)

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ゼロから無にページ11

-BH SIDE -

事務所で活動の準備をする時や
レコーディングするとき、

昔使ってたレッスン室の前をわざと通ったり
Aとよく買いに行った
自販機の前に行ってみたり。

思い出を遡って巡ることしか
君に会う方法は残されてなかったから。

だけど、どこにもAの姿はなくて

人一倍努力家でいい意味で諦めの悪い
投げ出すこと、中途半端にすることを最も嫌ってた
君が辞めるなんてあり得ないよなって。

だからずっと信じてたんだ。

俺たちがデビューしてまる2年。
その間一度も彼女の姿を目にすることはなかった。

ずっと心のどこかで心配してた。
待ち望んでいた

だから"Aがデビューするらしい"
と噂だけど聞いたとき、ものすごく嬉しかった。

会って直接おめでとうって
抱きしめて、お疲れさま頑張ったねって

事務所内がAのデビューの準備で
忙しくなってるのは所属アーティスト
みんなが感じてたと思う。

先輩は君たちの時だって私たちの時だって
デビューするのに何百人ものスタッフを
動かしたんだよ、今も尚そうなんだからと
言われた。

偶然なのか必然なのかAが
デビューする前日にマネヒョンに呼ばれた。

マネヒョンは唐突に
"もう忘れろ"って言った

なんのことかわからなかった。
いや、わかりたくなかっただけかな

デビュー前、一度だけマネヒョンに
話したことがあった。

好きな人がいて、その人に会いたいんだ
一瞬でもいいから会いたいって

精神的にもきつくて初めて弱音を吐いた
そんな俺にマネヒョンは
それは出来ないと謝ってきた。

多分、相手がAだってことは知ってて

俺がデビューしてからも変わらず
彼女を探してる事にいち早く
気づいてたのかもしれない。

マネヒョンは

明日から"A"は
"女優のA"として生きていくんだ。

そしてお前はEXOのベクヒョンだって
分かってるよな？って

ああ、必然なんだな、そう思った。

もう昔のお前たちじゃない、立場を考えろ
2人だけの問題じゃない。
お前にはEXOがあるだろ。もし何かあれば
チームに迷惑がかかるんだと言われた

俺はその言葉に弱いんだ。

だけどここまで言われても往生際の悪い俺は
Aに会いたいと思ってしまうだろう
忘れられるわけない。忘れたくないから

忘れるほど残酷なものはない。

そんなことするんだったら
"無かったこと"にするほうが
ずっとずっと苦しくなんかないから。