【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ10)

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嘘発覚2 ページ10

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-降谷零 side-

公安の仕事へ行く前に、車検が近づいているRX-7を預けるため米花自動車へと寄った。車から降りて店内に入ろうとしたら、作業場の所で莉子と以前ナンパをしていた橘という男が何やら話しているのが見えた。

近寄ってみれば恋人の有無についての話であった。この間の嘘がバレてしまったようだ。確かに無理のある嘘だったので仕方ないと言えば仕方がない。1度ならまだしも、諦めもせず2度目も言い寄るなど許せるものではなかった。二人に近寄りながら、莉子に問われた質問に自分が答える。

莉子を呼び寄せて腰を抱きながら、付き合っている事を改めて伝えても信じてくれないようだった。仕方ないので、自分しか知らない、莉子のホクロの場所を、項から順に人差し指でなぞって教えてやる。背中を向けている莉子から橘の表情は見えないと思うが、橘の驚いた顔を見て優越感に浸れた。莉子が慌てて動き始めこちらを見てくれば、もう少し見せつけてやろうと、こちらを見た莉子の後頭部を押さえながらキスをしてやる。長くて深い口づけを繰り返しながら時折橘に視線を向けると、橘は既にこちらを見ていなかった。そして、バツが悪そうにその場からいなくなってしまい、同時に唇を離す。

『ん、はっ…………、安室さんっ！！！何してるんですかっ！！』

「何って付き合ってること証明するためだろ」

『れ、零さん！？』

「それより、大丈夫だったか？」

『大丈夫ですけど…ホクロの位置とか、キスとか！！こんな外で！』

「何言っても信じてくれなかったから」

『だからって、他の誰かに見られたら…』

「適当に誤魔化してくれ」

『他人事なんだから！！』

「じゃあ、そろそろ行く。車よろしく頼む」

『ちょっ…』

外であんなことをしたせいで莉子に怒られてしまった。それでも莉子から悪い虫が離れた事に安心する。キスをしているときに周囲に意識を張り巡らしていたが、特に視線も気配も感じられなかった。つまり、見られたのは橘だけと言うことになる。橘も、気になっていた女が他の男とキスしている姿を見たなどと、屈辱的に感じたことを口外することもないだろう。

左手の腕時計を見てそろそろ行く時間になれば任務へと向かおうと思い莉子の作業服のポケットに車のキーを入れる。最後によろしくとだけ言って、待たせてある風見の車へと向かった。