【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ20)

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互いの決心1 ページ20

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『零さん、送ってくれてありがとうございました』

「こっちこそありがとう、行ってらっしゃい」

『行ってきます。零さんも行ってらっしゃい』

「行ってくるよ」

家の中で言われた通りに職場の近くまで送ってくれた。車から降りて彼の車を見送り、職場の更衣室に向かうなり、作業着に着替え始めた。

「柴田さん、おはようございまーす」

『井戸さん、おはようございます』

「今日も暑くなりそうですね～」

『そうですね、でももう9月ですし、そろそろ涼しくなってきますよ』

「それもそうか…あれ、柴田さん、指輪！結婚するんですか？！」

『実は、昨日婚約したんです』

「え！ほんと！？」

『はい』

「やっぱり彼氏いたんだ！！」

『やっぱり？』

「職場内で噂になってたから、白いスポーツカーに乗り込む柴田さんを見たって」

『はは、秘密にしてたつもりだけど、何処で誰が見ているかわかりませんね』

「どんな人なんですか？写真とか見せてくださいよ」

『うんと…責任感がとても強くて、包容力のある人ですかね…でも、写真はないんです』

「写真ないんですかー！！」

『彼、写真好きじゃないので』

「そうなんですか。今度ゆっくり話聞かせてくださいね」

指輪をつけて出勤してみればやはり、聞かれるのは指輪のことであった。職場内の人には恋人が愛車と言うことは知られていたので、自分に人の恋人がいたことには驚かれてしまう。そして、自分よりずっと年上の人が働く職場では、皆娘のように関わってくれるため、同時に安心された。

婚約することになり、嬉しい気持ちもあるがまだゴールした訳ではないので、浮かれてばかりはいられない。危険と隣り合わせの彼をきちんと支えられるように、今よりもずっと強くならなければ。

そんなことを考えて、身を引き締めるなり車を相手に仕事を進めた。