【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ17)

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予約2 ページ17

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自分が作った料理を美味しそうに食べていた彼の姿を見て嬉しさが込み上げてきた。好きな人にこうやって自分の料理を食べてもらえるのは嬉しいものだなと感じる。今まで恋愛そっちのけで車やバイクと向き合っていたが、こういう日常も良いかも知れないと思った。

彼の後にお風呂に入りながら、彼が帰ってきた時の疲れきった表情を思い出す。普段は見せない表情だったので、自分だけに見せてくれる顔なのかもしれないと嬉しく思えた。そして、なんでも爽やかに、スマートにこなす彼だからこそ、その表情は人間味が感じられ安心したのも事実。付き合ってから彼と過ごせる時間はとても少ないが、会える度に違う表情を見ることができることが幸せだった。

お風呂から上がり隣に座って、のんびりとした時間を過ごしていたら、大切な話があるとこちらを見てきた。何事かと思い見つめると、《自分の帰りを待っていて欲しい》との事。自分はいつでも彼の帰りを待っているつもりだったので、その頼みを受け入れるが、その後の《結婚して欲しい》という言葉には驚いてしまった。

(え、結婚…！？)

「━━━━だから、その時期が来るまで莉子を《予約》してていいか？」

『…えっと…私も…零さんの帰り待ってたいし、帰る場所を作ってたい。さっきもお風呂に入りながら考えてたんです。今日みたいな日が日常になったらいいなって』

「そういってもらえて安心した。これ。貰ってくれるか」

その言葉の後に左手の薬指に静かにはめられ指輪を見た。こくこくと頷きながら左手を握りしめながら胸の前に置く。

『ありがとうございます…嬉しい』

「とりあえず婚約ってことで指輪は普段付けててもいいし、取っててもいい。そこは莉子の判断に任せるよ」

『はい…ならつけてます…でも零さんとっていうのは内緒にしておきますけどね』

「悪い…」

『ううん。一緒にいる為だから』

「……それと、籍を入れてからも、直ぐには子供は作れないかもしれない」

『ふっ、それは構いませんよ。私もまだ考えたこともなかったし、今は零さんと過ごす時間を大切にしたいから』

「………莉子、愛してるよ」

彼から愛の言葉を囁かれて唇が重なった。

この急展開に気持ちが追い付いていなかったが、彼の言葉が嬉しくてプロポーズを受け入れた。いつ籍を入れるかわからないが、それでも彼と過ごせる時間は今よりも増えるはず。

彼とのこの甘い時間が終わったらもう少し将来の話をしよう。